正式な名称は「自転車用タイヤ自動空気補充装置」。中野さんが開発したのは、自転車タイヤへの面倒な空気入れがいっさい不要という、驚きのハブ(車輪の中心軸)だ。このハブの中には回転式のエアポンプが内蔵されており、ペダルをこぐだけで、前後のエアバルブに、専用チューブを通して緩やかに空気が充填される。しかも、3.0 気圧という常に軽快なタイヤのベスト空気圧を維持するものだ。空気入れの手間をなくしただけでなく、これによってタイヤは磨耗から守られ、寿命は約20%延びる。奇跡のエアハブ、その開発の源には、「誰にもつくれない製品を開発する」という中野さんの執念があった。 今や「浪速のエジソン」と呼ばれる中野さんが、この開発に取り組み始めたのは2001年12月のこと。発端は、自転車メーカーの販売担当者との、ちょっとした世間話だった。 「ユーザーが困っていることって、パンク、盗難、さび、結局この3つなんだよね」
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