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BOOKと哲学と思想に関するsizukanayoruのブックマーク (57)

  • 構造主義についてがんばって書いた ~『寝ながら学べる構造主義』のレビュー~ - 本で死ぬ ver2.0

    学問は最近のものになるほど難しくなっていく。 もくじ 近代哲学が難しい理由 構造主義はかなり新しいから、かなり難しい じつはあなたも、「構造主義」的な考え方をしている 差別しない=構造主義的 人の思考は所属する社会の影響を受ける 構造主義・四銃士 ミシェル・フーコー ロラン・バルト クロード・レヴィ=ストロース ジャック・ラカン 今日の一首 後記 考えてみればそれは当然の話で、学問は積み上げていくものだから、すでに先人によって積み上げられているものがたくさんある場合、それらを土台に新しいことを考えているが現在の人々だからだ。 近代哲学が難しい理由 哲学も同じで、たとえば古代ギリシャのアリストテレスとかプラトンの考え方は、まだ非常に理解しやすい。 が、そこから時代を経てフッサールとかハイデガーとかサルトルなんかになってくると、いきなり「コイツ何言ってんだ」状態になってしまうのは、彼らがそれま

  • 『ツァラトゥストラはかく語りき』の思い出: 極東ブログ

    ニーチェの『ツァラトゥストラはかく語りき』を最初に読んだのは、中学生のころだった。中二だったのではないか。この作品はまさに中二病で読めそうな古典である。そう思える理由としてすぐに思いつくことは、単純な神話劇の構造をもっていることと、芥川龍之介の『侏儒の言葉』のようにアフォリズムであることだ。保守派論客のようになってしまって久しい西尾幹二だが1978年に講談社現代新書で『ニーチェとの対話 ツァラトゥストラ私評』を書いたころはドイツ出羽守といった感じだった。同書は新書という性格から読みやすさを狙ったのかもしれないが、基的にアフォリズムとしての理解が基で、かつ『ツァラトゥストラはかく語りき』の前半しか扱ってなかった。当時高校生の私ですら、専門家でも意外に稚拙な読みをするものだなと思ったりもしたものだ。中二病は悪化していたのである。 ニーチェの思想は、そうした部分部分で見るなら、140文字で収

  • 『愛とか正義とか』はスゴ本

    当たり前だと思っていたことが、あたりまえでないことに気付き、根から世界が刷新される。もちろん刷新されたのは世界ではなく、わたしだ。OSレベルで無意識のうちにしてきた「考える」を、あらためて知る。読前読後で世界を(わたしを)変えるスゴなり。 書は、哲学・倫理学の入門書になるのだが、そこらの「哲学入門」ではない。「自分で考える」ことを目的とした入門書という意味で、まったく新しい。 なぜなら、そこらの「哲学入門」は、哲学していないから。むしろ反対に、「哲学しないこと」を目指している。つまりこうだ、イラストや図解や簡単なセリフにまとめた哲学者や論を紹介しているだけにすぎぬ。哲学とは、「自分で考える」ことなのに、それを捨て去って、「これが哲学ですよ」という「答え」を提示しているのだ。 もちろん、「自分で考える」よすがとして過去の哲学者をとりあげ、たとえば現代的な問いに対し斬り込み方や論の立て方

    『愛とか正義とか』はスゴ本
  • 【読書感想】ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 ☆☆☆☆ - 琥珀色の戯言

    ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 (中公新書) 作者: 矢野久美子出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2014/03/24メディア: 新書この商品を含むブログ (31件) を見る 内容(「BOOK」データベースより) 『全体主義の起原』『人間の条件』などで知られる政治哲学者ハンナ・アーレント(1906‐75)。未曽有の破局の世紀を生き抜いた彼女は、全体主義と対決し、「悪の陳腐さ」を問い、公共性を求めつづけた。ユダヤ人としての出自、ハイデガーとの出会いとヤスパースによる薫陶、ナチ台頭後の亡命生活、アイヒマン論争―。幾多のドラマに彩られた生涯と、強靱でラディカルな思考の軌跡を、繊細な筆致によって克明に描き出す。 ハンナ・アーレントとは、何者なのか? 昨年、映画『ハンナ・アーレント』が日で公開され、あらためて注目されたそうなのですが、僕はこの新書を読んで、その映画

    【読書感想】ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 ☆☆☆☆ - 琥珀色の戯言
  • 呉智英『吉本隆明という「共同幻想」』」を読む - 関内関外日記

    隆明という「共同幻想」 (ちくま文庫) 作者: 呉智英 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2016/10/06 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る 吉隆明という「共同幻想」 作者: 呉智英 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2012/12/07 メディア: 単行 購入: 2人 クリック: 36回 この商品を含むブログ (14件) を見る 父は週刊誌か月刊誌の編集人時代に呉智英と仕事をしたことがあるらしい。新聞やなにかの人生相談について、相談を受ける側の精神分析をするというコーナーだったらしい。そして父は言うのだった。「呉智英は隠れ吉隆明シンパだった」と。 おれには父の言う歴史を確認するすべがない。とはいえ、吉隆明→呉智英というラインがあるものだと思っていた。書を読むと、そんなことはない。吉隆明をけっちょんけちょんである。わざわざ難解に書いて

    呉智英『吉本隆明という「共同幻想」』」を読む - 関内関外日記
  • 人が子を残すとはなんぞや? 『リベラル優生主義と正義』を読む - 関内関外日記

    リベラル優生主義と正義 作者: 桜井徹 出版社/メーカー: ナカニシヤ出版 発売日: 2007/01 メディア: 単行 クリック: 3回 この商品を含むブログ (11件) を見る おれのなかには、おれの個人的な優生主義というものが存在している。 d.hatena.ne.jp 要するに、父を見て、全兄弟の弟を見て、さらに自分を鑑みて、この血筋は絶やすべきだ。というか、勝手に絶えるものだと考えている。適者生存、わが一族の血統はこの社会に適応しているとは言い難い。このような自分が、不幸の再生産を目指して子孫を残そうと考えるのは不徳である、ということだ。もちろん、おれが子孫を残そうと努力したところで、そんなことは不可能ではあるのだが。 さて、こんなおれはおればかりでなく、社会に多数存在するようにも思える。おれのように、遺伝を要因として子供を作ろうとしない人間が少なからずいるのではないか。差別的な

    人が子を残すとはなんぞや? 『リベラル優生主義と正義』を読む - 関内関外日記
  • 老子 岩波文庫 ASIN:B01BD3DLOE - 奴隷こそが慈悲を施さなければならない

    当の言葉は華美ではなく 、華美な言葉は当ではない 。当の弁論家は弁舌が巧みではなく 、弁舌が巧みな者は当の弁論家ではない 。当の知者は博識ではなく 、博識な者は当の知者ではない 。聖人は何もためこまない 。なにもかも人々に施しつくしながら 、自分はますます充実する 。なにもかも人々に与えつくしながら 、自分はますます豊かになる 。天の道は恵みを与えるだけで損なうことはなく 、聖人の道は何かを為しても争うことはない 。 なにも為さないということを為し 、なにも事がないということを事とし 、なにも味がないということを味とする 。小さいものを大きいものとして扱い 、少ないものを多いものとして扱う 。怨みには徳でもって報いる 。難しいことは 、それが易しいうちに手がけ 、大きいことは 、それが小さいうちに処理する 。世の中の難しい物事はかならず易しいことからおこり 、世の中の大きな物事

    老子 岩波文庫 ASIN:B01BD3DLOE - 奴隷こそが慈悲を施さなければならない
  • 老荘と仏教 森三樹三郎 講談社学術文庫 ISBN:4061596136 - 奴隷こそが慈悲を施さなければならない

    老子 孔子のアンチテーゼ、無の哲学 無為、無知、無欲。道は無、無こそ万物の根源 知識が自然を見失わせる 荘子 万物斉同・・・知識を否定し、ありままの世界、自然世界ではあらゆる対立差別は消失し、すべてが斉しく、すべてが同じ。 万物の始め、根は有と無を同時に包み込むもの、無限 生死を斉しくする。死が恐ろしく、いとわしいのは、人間が生の立場から死を見ているからである。 運命肯定の思想は中国民族のもの。 仏教の禅宗、浄土教 いかに万物斉同の境地に至るか 唐宋以降、禅や浄土に吸収。仏教の禅宗、浄土教に引き継がれる。 中国的な色彩の強い仏教。 禅宗 無数の不自然を積み重ねなければならない 浄土教 人間の力は微弱、微弱な努力はさまたげになる。 善導 自然は即ち弥陀国なり 親鸞 自然法爾 ただ一つ、荘子は重大なことを言い忘れたようである。それは「どうすれば万物斉同の境地に達することができるのか」という、

    老荘と仏教 森三樹三郎 講談社学術文庫 ISBN:4061596136 - 奴隷こそが慈悲を施さなければならない
  • 『言ってはいけない 残酷すぎる真実』まえがき – 橘玲 公式BLOG

    新刊『言ってはいけない 残酷すぎる真実』の「まえがき」を、出版社の許可を得てアップします。 *********************************************************************** 最初に断っておくが、これは不愉快なだ。だから、気分よく一日を終わりたいひとは読むのをやめた方がいい。 だったらなぜこんなを書いたのか。それは、世の中に必要だから。 テレビや新聞、雑誌には耳触りのいい言葉が溢れている。メディアに登場する政治家や学者、評論家は「いい話」と「わかりすい話」しかしない。でも世の中に気分のいいことしかないのなら、なぜこんなに怒っているひとがたくさんいるのだろうか。――インターネットニュースのコメント欄には、「正義」の名を借りた呪詛の言葉ばかりが並んでいる。 世界は来、残酷で不愉快なものだ。その理由を、いまではたった一行で説明でき

    『言ってはいけない 残酷すぎる真実』まえがき – 橘玲 公式BLOG
  • 【読書感想】ホッブズ――リヴァイアサンの哲学者 ☆☆☆ - 琥珀色の戯言

    ホッブズ――リヴァイアサンの哲学者 (岩波新書) 作者: 田中浩出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2016/02/20メディア: 新書この商品を含むブログ (5件) を見る 内容(「BOOK」データベースより) 「万人の万人にたいする闘争」に終止符を打つために主権の確立を提唱したホッブズは、絶対君主の擁護者なのか。それとも、人間中心の政治共同体を構想した民主主義論者なのか。近代国家論の基礎を築いたにもかかわらず、ホッブズほど毀誉褒貶の激しい哲学者はいない。第一人者がその多面的な思想と生涯を描いた決定版評伝。 ホッブスといえば、『リヴァイアサン』を書いた人で、その内容は「万人の万人に対する闘争」。 僕自身のホッブスに関する知識というのはこのくらいのもので、まさに「受験世界史レベル」だったのです。 『リヴァイアサン』も、「『ファイナルファンタジー』シリーズの召還獣」のほうを先に思い浮かべて

    【読書感想】ホッブズ――リヴァイアサンの哲学者 ☆☆☆ - 琥珀色の戯言
  • 何が狂っているのか分かる「フランス現代思想史」

    フランス現代思想に詳しい文芸評論家が社会問題等を語るのを見て、稚拙に感じた人は多いのでは無いであろうか。「脱構築」な聞きなれない単語を並べて来る一方で、歴史や制度や技術に関する知識が心もとない。一方で、論理が飛躍するし、矛盾した主張もされることがある。断片的な知識を入れると、言葉の端々から連想される結論に飛びついてしまう。ほんわかしていて批判に備える殺伐感が無い。 激しい教養の欠如を感じるわけだが、一体、何を学んだらこういう風になるのか疑問だった。ラカンやドゥルーズやデリダの文章を読めば分かるのかも知れないが、根的に間違っていそうな話を延々と読むのはつらい。放置していたのだが、新書なので手軽に読める「フランス現代思想史」と言う概説書が出てきた。著者はドイツ哲学が専門で、英米系哲学の講義もして来た人で、フランス現代思想のタコ坪に入っていない専門家になる。 タイトル通りの内容ので、良く参照

    何が狂っているのか分かる「フランス現代思想史」
  • Amazon.co.jp: 倫理21: 柄谷行人: 本

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  • http://yaruomatome.blog.2nt.com/?no=394

  • やる夫ブログ やるおが『資本論』を読み始めたようです 2

    1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/09(日) 21:51:15.27 ID:MRMyDOv30 ~やるおと学ぶ『資論』 第一巻~ (2) , -=―=―- 、 _ 〃⌒>'´  /    丶`ニ=‐' ./ ,′// , ´ /  j } ヽ \ / l  | i l / /// ,イ ハヽ ヽ ノ,イ八 l レ_j/∠∠///∠Ll }ヘ <ノ .∧ l ムrt=k`  ィ=、ルレ′j / イ Vヘ. ヽVr!   jr/ムイ{ ´ W^{ゝヘ ハ.ヽヽ _ ' /〈リヽ j八 }ヽ ヘ、   j`<ミ\ リ朽\!`{7|::資::>ミ;>, ノ \- 厶]::f }::/:/ r=<    V三|::論::| |/:/ ←新日出版の訳 /‐-、 \   ∨メ、::::ノ V、 .   /_j   , X \   ヽ {´   / 〈  ´

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    【333話・FUJIFILM】X-H2Sのノスタルジックネガで撮る逗子海岸 こんにちは。メガネ屋のモアイです。さて今回はつい先日買ったX-H2Sの初先発?で神奈川県の逗子海岸に行って来たお話しです。 meganeya-moai.hatenablog.com はじめに 今回のフィルシミュレーション 今回の機材 X-H2Sのノスタルジックネガで撮る逗子海岸 最後に

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  • 市民社会というフィクション - 『フーコー 生権力と統治性』

    ★★★★★(評者)池田信夫 フーコー 生権力と統治性 著者:中山 元 販売元:河出書房新社 発売日:2010-03-17 クチコミを見る ミシェル・フーコーが死去してから四半世紀以上たつが、いまだに彼の全貌はよくわからない。彼の早世によって主著『性の歴史』が途絶し、日では講義録の翻訳も止まっているため、彼の名はいまだに「構造主義」とか「人間の死」などのキャッチフレーズでしか知られていないが、著者も指摘するように、こうしたイメージは誤っている。 特にフーコーの中心テーマだった権力の問題については、彼の方針が二転三転し、まとまった著作を残さなかったため、早すぎた晩年の「空白の8年間」の講義やインタビューなどをたどらないと真意がよくわからない。書はそれを未公刊の草稿まで渉猟し、あちこちに分散しているフーコーの(断片的で一貫していない)権力論を体系的にまとめた労作である。 フーコーといえば、「

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  • サンデルの政治哲学 : 池田信夫 blog

    2010年12月14日08:10 カテゴリ法/政治 サンデルの政治哲学 先週、自由が丘の屋に行ったら、入口のところに『ハーバード白熱教室講義録』と書が山のように積まれていて驚いた。日人の感覚に合うとは思えないアメリカ的な政治哲学がこんなに受けるのは不思議な現象だが、『講義録』は『これからの「正義」の話をしよう』と内容がほとんど同じで、前著を読んだ人が買う価値はない。 サンデルを格的に勉強しようと思う人は『リベラリズムと正義の限界』を読むかもしれないが、これは細密なロールズ批判なので、『正義論』を読んでいないと何を論じているのかわからないと思う。またロールズもサンデルもその後、立場を変えたので、最近の議論までコンパクトに紹介している書が便利だ。 わかりやすいのは、サンデルの立場を師匠のテイラーまでさかのぼって整理し、ヘーゲリアンであるテイラーの思想から説明している点だ。テイラーを

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  • Just(ice) as Fair(ness) - 書評 - 正義論/ハーバード白熱教室講義録 : 404 Blog Not Found

    2010年11月21日22:30 カテゴリ書評/画評/品評Value 2.0 Just(ice) as Fair(ness) - 書評 - 正義論/ハーバード白熱教室講義録 双方とも出版社より献御礼。 ハーバード白熱教室講義録 +東大特別授業(上下) Michael Sandel 正義論 John Rawls / 川隆史・ 福間聡・ 神島裕子訳 [原著:A Theory of Justice: Revised Ed.] (Google Books) 両著が同時に、それも自国語で読める読者は幸いかな。 「正義論」は、単体で消化するのはまず無理であっただろうから。素肌が水を弾くのに似て。 「正義論」は、「ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業」の骨格。あるいは「ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業」は骨だけの「正義論」に肉付けをしたもの。 そう。邦訳で800ページを超える「正義論」には、

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  • 平岡公彦氏・finalvent氏・とつげき東北氏のニーチェ解釈――永井均「これがニーチェだ」がすごい - 誰が得するんだよこの書評

    平岡公彦氏に紹介された永井均「これがニーチェだ」をようやく読みました。僕の感覚からすると非常にわかりやすかったです。紹介していただいてどうもありがとうございます。僕がどうしても理解できなかったのは「どうしてニーチェは健全だとか健康だとかにこだわっているんだろう?」ということでした。だから「健全さ」すらも相対化してありとあらゆる価値基準にとらわれることなく好き勝手に生きればいいという主旨のことを述べました。しかし、むしろニーチェの思想は「何が健全か」よりも「何が醜悪か」で考えた方がわかりやすいように思います。というわけで、永井均の解釈に沿って「何が醜悪か」について整理します。 1.第一の醜悪なもの――弱いもの・劣悪なもの 「優れた能力」というものについて考えてみましょう。 たとえば、「速く走れること」は、「速く走れないこと」よりも明らかに「よいこと」です。こうした価値観に対して、速く走ること

  • ロールズの『正義論』 : 池田信夫 blog

    2010年10月10日14:06 カテゴリ法/政治 ロールズの『正義論』 待望ひさしかったロールズの古典的名著の新訳が、ようやく来月出る。前の訳(私も持っている)は最悪だったが、今回の訳者は信頼できる。サンデルのベストセラーで注目度も上がったので、これを機に日でも書が読まれ、「派遣村」のような幼稚な議論を卒業して正義や公平をめぐる学問的な論争が行なわれることを期待したい。 菅首相のいう「最小不幸社会」というのは――人も知らないようだが――ロールズの格差原理に似ている。それはもっとも不幸な人の利益を最大化するかぎり不平等は容認されるというもので、不幸の最小化とも解釈できる。しかしこの主張は、サンデルをはじめ多くの人々の批判を浴びて、ロールズ自身ものちに大幅に修正した。 まず明らかなのは、この「不幸」は米国内に限定されているのではないかという批判である。これはロールズも認め、のちの『

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