ノマドヤ暮らしのススメ 大阪にいたころにドヤ暮らしをしていたことがある。ドヤとは3畳一間の和室からなる簡易宿所であり、非日常空間における最低限のサービスと最底辺の料金が魅力のリゾート施設。抜けたくても抜けられないぐらいの長期滞在が可能であるし、日雇い労働を斡旋してくれたり、謎の屋台や泥棒市など、独自のエコシステムも形成されている。 「ドヤ」とは「宿(ヤド)」の逆さことばである。旅館業法に基づく簡易宿所が多く立ち並んでいることからきている。 戦後の高度成長期、日雇いの仕事を斡旋する寄せ場に日雇い労働者が多く集まり、彼らが寝泊りする簡易宿所が寄せ場の周辺に多く開設されることでドヤ街が形成された。いわゆるスラムとは異なり、その地域全体が日雇い労働者のドヤで占めているわけではなく中産階級の住宅も存在しているのが大きな特徴である。とはいえ、スラム同様に日雇い労働者に対する貧困克服政策が求められている