『兵士たちの悪夢』の内容については、NHKドキュメンタリー『兵士たちの悪夢』1をご覧ください。 2008年10月11日(土) 『兵士たちの悪夢』に登場する兵士たちと、私が『沈黙を破る─元イスラエル軍将兵が語る“占領”─』で紹介したイスラエル兵たちとは、どこが共通し、どこが違うのか。 「敵を殺す」という“兵士の目的”を実行するために両者が共通して身につける習性は、何よりも「敵の非人間化」「敵に対する徹底的な差別意識」である。 前回と重複するが、『兵士たちの悪夢』のなかで、「敵の非人間化」と「差別意識」を象徴する例を挙げてみよう。 第二次大戦末期、アメリカ陸軍の要請を受け、数多くの兵士たちにインタビューし、実際の戦闘中に兵士たちがどういう心理状態に置かれていたかを調査した歴史学者S・L・A・マーシャルは、その調査結果を元にこう結論づけている。 「人は同胞たる人間を殺すことに対して、ふだんは気付