とりわさ、たたき、刺し身……。人気の鶏料理は生肉を使うが、実は牛や馬の肉のような国の基準がない。食中毒は心配だが、「食文化に水を差したくない」と規制に二の足を踏む自治体がある一方で、明確な基準を求める声も出ている。 大分市の専門店は地元のブランド鶏が売り物だ。ここでは「地鶏の刺し身四種盛り」が1280円。生のササミ、ムネ、ハツ(心臓)、ズリ(砂肝)をポン酢やゴマ油で楽しむ。ササミはとろけるような柔らかさ。ズリは歯ごたえがいい。週末は予約でいっぱいの日もある。 食文化史研究家の永山久夫さんによると、日本には古くから生肉を食べる習慣がある。生魚が広まった江戸時代以降も九州、東北で鶏肉を生で食べる文化が残った。総務省の家計調査県庁所在地・政令指定都市別ランキング(2009〜11年平均)では鶏肉の消費量トップは大分市。上位8位を九州・山口が占める。 続きを読むこの記事の続きをお読みいただくには