以下、彦坂尚嘉さんの文章を紹介します。 目黒美術館で、学芸員の正木基氏が中心になって朝日新聞社後援で『戦後文化の軌跡』展というものが開かれました。 私、彦坂尚嘉も出品し、シンポジウムのパネラーとしても出席しました。 私もこの展覧会に出品していたので、搬入が終わって、その後、オープン前の会場を見て回りました。まだ、監視員もいないので、ゆっくり見ることが出来ました。 そこに岡本太郎の「痛ましき腕」が出品されていました。岡本太郎の作品の中でも、格別に印象的な作品で、それを、近づいて、しげしげとゆっくり鑑賞したのです。 変な絵でした。ものすごく、手順が良く描けているのです。端から描いて、端で終わったという描き方で、映画の看板の描き方でした。おかしいな?と思いました。 以前に『芸術新潮』から言われて、岡本太郎の70年代美術展の記事を書いたことがあったのですが、その時に見た印象は、この「痛ましき腕」の