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ブックマーク / mmpolo.hatenadiary.com (586)

  • 東大出版会のPR誌『UP』の「すゞしろ日記」ほかを読む  - mmpoloの日記

    4年ほど前、佐藤信主宰の鷗座公演で、ベルナール=マリ・コルテスの芝居『森の直前の夜』を見た。佐藤の演出は実験的で、役者がひとり舞台中央に立ったまま2時間近く喋りつづけるというものだ。上半身は動かすものの、足は1カ所に立ったままだった。ほとんど朗読劇に近かった。 さて、東大出版会のPR誌『UP』6月号に連載の山口晃「すゞしろ日記」第147回を読む。A5判という小さな判型の雑誌1ページに24コマが描かれている。それを佐藤信流にセリフだけ拾ってみる。 さて前回は * 朝の詩情と 薄れゆく意識を * 余白の美しさや 奔放な線にのせて 表してみた * 読者は どのような感慨を 抱かれたであろう * 自営業者としての 顧客調査―― * 「過去最大級の手抜きぶり」 「あきちゃったのかな」 * もろもろの あたたかい反応 が身にしみる 「アリガタシ」 * 何となれば 特に感想も 頂かぬのが 毎回の ことで

    東大出版会のPR誌『UP』の「すゞしろ日記」ほかを読む  - mmpoloの日記
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    sphynx 2017/07/06
  • 池田嘉郎『ロシア革命』を読む - mmpoloの日記

    池田嘉郎『ロシア革命』(岩波新書)を読む。副題が「破局の8か月」とあり、類書と異なり2月革命から10月革命までの具体的な政治の動きをテーマにして、それを破局に至る過程として描いている。沼野充義の書評が毎日新聞に掲載された(2017年3月5日)。その書評より、 一口に1917年の「ロシア革命」といっても、2月革命と10月革命の2段階からなっている。ごく常識的な説明をすれば、まず2月革命で、3世紀続いたロマノフ朝が倒されるとともに、自由主義者を中心とする臨時政府が作られた。しかし同時に、より急進的な労働者・兵士の代表組織であるソヴィエトが強大な勢力となり、社会は二重構造に陥った。しかも当時、ロシアは第1次世界大戦のさなか。国全体が出口の見えない総力戦に疲弊しつつあった。このような混迷状態の中、様々な社会勢力の複雑な対立や、街頭の混乱、クーデター未遂事件などを経て、ついに機を見澄まして表舞台に登

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    sphynx 2017/07/06
  • 小林敏明『夏目漱石と西田幾多郎』を読む - mmpoloの日記

    小林敏明『夏目漱石と西田幾多郎』(岩波新書)を読む。副題が「共鳴する明治の精神」とある。テーマに興味を持って読んだのではなかった。著者小林に興味があったから。小林はきわめて難解な哲学者廣松渉の弟子なのだ。人は廣松と木村敏に大きな影響を受けたと言っている。廣松のもう一人の弟子が熊野純彦で、先月は岩波書店から熊野の『レヴィナス』(岩波現代文庫)が発行されて、奇しくも弟子二人の著書が同時に出たのだった。 漱石も西田もほとんど同時代で、帝国大学の科と選科の違いはあるが同窓生でもあった。二人とも禅に接近し公案に悩んだ。また漱石は『吾輩はである』、西田は『善の研究』がベストセラーになる。さらに弟子たちが参集するのも共通する。 とはいえ、特に漱石と西田を比較する強い必然性は感じられなかった。思想の詳しい内容は小林の『西田哲学を開く』や『憂なる漱石』を参照してほしいと言っているが、西田について触れ

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    sphynx 2017/07/06
  • ジョン・ル・カレ『地下道の鳩』を読む - mmpoloの日記

    ジョン・ル・カレ『地下道の鳩』(早川書房)を読む。副題が「ジョン・ル・カレ回想録」で、『寒い国から帰ったスパイ』や『ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ』、『パーフェクト・スパイ』などで著名なイギリスのスパイ小説作家の回想録だ。楽しみで読み始めた。全38章、1ページ平均9ページほどになる。実際は長い章で40ページ、短いもの「小説家を志す人へのアドバイス」がわずか1ページ、正確にはたった2行だ。それは、「1日の執筆を終えるときには、翌日に向けて何かをためこんでおくことにしている。睡眠はじつにすばらしい仕事をしてくれる」。というもの。最後に「出典」という項がある。これによると、文中8つの章は引用元からそのまま転載したり一部を抜粋したという。 ル・カレの読者なら個々の作品の取材背景や、発想のエピソードが語られているので十分楽しめるだろう。ただ全体が体系的に書かれているのではなく、断片的で、

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    sphynx 2017/07/06
  • 美術家柴田和とはどんな人物か - mmpoloの日記

    今年2月から3月にかけて東京銀座の中和ギャラリーで柴田和 今昔展PART IIが開かれた(2月27日〜3月4日)。柴田の高校生のときの作品から最新の作品までが並んでいた。柴田は1934年生まれだから今年83歳になる。その高校生のときの作品の完成度の高さに驚いた。それで柴田がどんな半生を歩んで来たのか興味を持ち、柴田に時間を取ってもらって話を聞いた。 柴田は1934年(昭和9年)9月愛知県一宮市に生まれた。6歳のとき画商をしていた父が亡くなったので母と群馬県藤岡市に転居した。 1950年(昭和25年)に群馬県立藤岡高校に入学する。絵が好きだったので美術部に入り、3年生のとき美術部長になり、群馬県美術家連盟展に出品した作品が上毛新聞社長賞を受賞する。さらに全日学生油絵コンクール高校の部で、天作賞に次ぐ地作賞に選ばれる。 1954年(昭和29年)武蔵野美術大学に入学、その年の武蔵美文化祭に高校

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    sphynx 2017/06/16
  • 金井美恵子の新作『カストロの尻』を読む - mmpoloの日記

    金井美恵子の新作『カストロの尻』(新潮社)を読む。題名をよく見ると「スカトロの尻」では断じてなかった。スタンダールの『カストロの尼』を間違えて読んでいる男の話だった。いつもどおりの奇妙な小説、短篇連作である。前後にエッセイ2つを置き、その中に11編の短篇が挟まれている。その最初のエッセイが目次では「「この人を見よ」あるいは、ボヴァリー夫人も私だ/破船」となっていて、スラッシュのあとの「破船」が最初の短篇の題なのだ。文の見出しは「「この人を見よ」あるいは、ボヴァリー夫人も私だ/破船」となっていて、文中のどこにも改めて「破船」の題名は出てこない。それらしい段落もよく分からない。ただ、37ページまでの柱が「「この人を見よ」あるいは、ボヴァリー夫人も私だ/破船」となっているのに対して、(奇数ページにのみ振られている)39ページの柱が「破船」になっている。 どの短篇作品もストーリーはあるのだが、

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    sphynx 2017/06/16
  • 呉座勇一『応仁の乱』を読む - mmpoloの日記

    呉座勇一『応仁の乱』(中公新書)を読む。昨年10月に発行されたが、またたくうちにベストセラーになり、もう30万部ほどは出ているのではなかったか。たとえ新書だとはいえ、どうしてこんなに硬い歴史がそんなに売れているのか。 大澤真幸が朝日新聞に書評を寄せている(2月12日)。応仁の乱の原因は何か、誰と誰が何を賭けて戦ったのか、誰が勝ったのか、書が教えてくれる、と。 けっこう学術的なこんながよく売れることに、ふしぎを感じる。が同時に、多くの読者をもつに値するだとも思う。めちゃくちゃ錯綜した経緯をおもしろく飽きさせずに読ませてしまう著者の筆力は半端ではない。中世史学者としての独自説もたくさん提起される。 で結局、応仁の乱とは何なのか。書から私が学んだことはこうなる。それは、かつて一度は成立した、天皇・公家と武家の間の、京都と地方の間の奇跡のバランスの最終的な破綻の現れだった。次のバランス

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    sphynx 2017/06/16
  • 松浦理英子の新作『最愛の子ども』を読む - mmpoloの日記

    松浦理英子の新作『最愛の子ども』(文藝春秋)を読む。これも奇妙なだ。女子高生たちのグループが描かれている。彼女たち以外は教師たちが少し、母親たちが少し描かれるだけで、男子高生の関わり方もわずかだけだ。共学だけれど、女子と男子は別クラスになっている私立高校が舞台だ。その女子クラスの中にとても親しくしている3人がいて、仲間から「ファミリー」と呼ばれている。3人は舞原日夏がパパ、今里真汐がママ、薬井空穂が子どもと言われている。3人の関係が物語の中心になる。 奇妙なのは語り口だ。三人称小説ではなく一人称で語られるのだが、それが一人称複数なのだ。「わたしたち」と言う語り手はクラスの仲間たちで、しかし物語は三人称で語られているように進む。その仕組みはこうなっている。 ……わたしたちはわたしたちの見ていない所で何があったのか想像し、何が起こっているのか、これからどんな成り行きになるのか思いめぐらし、現

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    sphynx 2017/06/16
  • 上野誠『万葉集から古代を読みとく』を読む - mmpoloの日記

    上野誠『万葉集から古代を読みとく』(ちくま新書)を読む。「はじめに――こののめざすところ」で映画『君の名は。』を見たところから始めている。そして、このは「古代社会において歌とは何か、古代社会において『万葉集』とは何であったのか、を考えるヒント集、提案集ということになる」という。 映画の話から始まっているように、万葉集を語る新書としてはとても読みやすい。例文を挙げる時もまず訳文を示し、ついで書き下し文を挙げている。これは通常のやり方と逆で、なるほど上野の方法の方がすぐ内容が分かり、その後原文に近づいていくので古文にとても親しみやすい。文の記述もやはりていねいで読みやすい。 万葉集の竹取翁の歌を上野の訳と書き下し文を比べてみる。 みどり子の 赤ん坊の髪型のころにはね たらちしではないけれど お母さんに抱かれてね 紐付きべべを着たもんさ 幼髪のころは 木綿(ゆう)の肩衣(かたぎぬ)をね 一

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    sphynx 2017/06/10
  • 大野晋・丸谷才一『日本語で一番大事なもの』を読む - mmpoloの日記

    大野晋・丸谷才一『日語で一番大事なもの』(中公文庫)を読む。分かりにくい題名だが、書は古文の主に助詞と助動詞について大野と丸谷が語っている。つまり日語文法のなのだ。文法のだといえば、ややこしくてうっとうしいものだという印象を持つだろう。ところが書はおもしろい。対談によっているということが一つ、もう一つは終始万葉集から新古今などの和歌を素材に文法を語っていることによる。 堀辰雄の『風立ちぬ』の巻頭にヴァレリーの詩がフランス語で引いてあって、それを堀辰雄の訳文で紹介されている。それが、「風立ちぬ、いざ生きめやも」となっている。ヴァレリーの原詩では「生きようと努めなければならない」という意味なのに、堀の訳では「生きようか、いや、断じて生きない、死のう」ということになって、これは誤訳だと丸谷が指摘する。「やも」の用法を堀は知らなかったんでしょう、と。次に大野は森鴎外の名訳と評価の高い『

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    sphynx 2017/06/10
  • はてなダイアリーの新規受付終了という発表 - mmpoloの日記

    私が現在利用しているはてなダイアリーHatena Diaryのブログサービスについて、7月3日をもって新規開設の受付を終了するとの発表があった。新規開設者が減ってきているというのがその理由だ。既存の利用者はそのまま続けられるというが、アクセス解析などのサービスは8月7日をもって終了するという。 8月7日(月)に予定している「はてなカウンター」のサービス終了に伴い、はてなダイアリープラスの「アクセス解析」機能は7月3日をもって提供を終了します。 この分ではもしかすると将来はてなダイアリーも終わることがあるのだろうか? 私は2006年3月からこのはてなダイアリーでブログを始め、その後11年間に3,840余の記事を書き、アクセス数も324万余となっている。11年間ほとんど毎日書きつづけ、生活の大きな一部になっている。 むかし高校入学と同時に日記をつけ始め、その習慣はもう50年以上続いている。とこ

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    sphynx 2017/06/10
  • 半藤一利『文士の遺言』を読む - mmpoloの日記

    半藤一利『文士の遺言』(講談社)を読む。副題が「なつかしき作家たちと昭和史」とあり、表2の惹句にも「昭和史としての作家論!」とある。司馬遼太郎に関するエピソード、松清張に関するそれ、そして永井荷風、森鴎外、坂口安吾、志賀直哉、吉井勇、丸谷才一、阿川弘之、菊池寛、文学界、宮崎駿などが語られる。 「あとがき」にこうある。 書を担当した編集者の加藤真理さん(……)が、頼まれてほうぼうの雑誌に書き散らしたものをきびしく取捨し、1冊分になるように見事に編集して、ドーンと目の前におきました。その上に、講談社第一事業局の村上誠、こちらはニコニコとした笑顔で、加藤さんにエールを送り続けるのです。書はこのようにしてできあがりました。 半藤が「頼まれてほうぼうの雑誌に書き散らしたもの」をまとめてできたのが書なのだった。半藤の昭和史に関するを何冊か読んで、教えられることが多々あり、嫌いな著者ではなか

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    sphynx 2017/06/01
  • 小泉明郎展『帝国は今日も歌う』を見る - mmpoloの日記

    先日、東京渋谷のVACANTで小泉明郎展『帝国は今日も歌う』を見た(5月11日)。小泉明郎展と題されていたが、15分ほどの動画作品だ。 会場には3つのスクリーンが設置されていて、作品はこのマルチスクリーンに映し出されていく。青年が街なかに立っていてぼそぼそと喋っている。子供の頃変な夢を見た。糧不足のためニワトリの生産が低下していた。与えるエサが不足していて、人間をエサにすることにした。誰かが犠牲にならなければならない。父親がエサに選ばれる。父は冷静に運命を受け入れて連れられて行く。私は不安に襲われ激しく泣き続ける。 青年がデモ隊の中にいる。周りを警官が取り囲み、その外側には大声でヘイトスピーチを繰返す乱暴な男たちや女さえもいる。その映像が延々と続いている。その男女は日の丸の旗を持って、極めて感情的に声高に叫んでいる。青年がおびえながら警官たちの中を歩いている。いつの間にか青年は後ろ手に手

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    sphynx 2017/06/01
  • 吉本隆明『写生の物語』を読む - mmpoloの日記

    隆明『写生の物語』(講談社文芸文庫)を読む。吉が雑誌『短歌研究』に1995年から1997年にかけて断続的に連載した短歌論。「起源以前のこと」や「遊びとしての『百人一首』」から、「江戸期の短歌1、2、3」、「中也と道造の短歌」、「鴎・漱の短歌」、岡井隆論、そして「短歌の現在」まで魅力的な短歌論が並んでいる。やはり吉の分析力は並外れていると感嘆する。 山中智恵子論では、 わが額(ぬか)に時じくの雪ふるものは魚と呼ばれてあふるるイエス 声しぼる蠅は背後に翳りつつ鎮石(しずし)のごとく手紙もちゆく まなざしに堪ふることつひに罪のごと青蝉(せいせん)は湧く杜を帰らむ 吹雪く夜ははや荘厳の花も散ると牛馬(うしうま)放ちいづこゆかむか たとえば引用の1番目の歌だ。この一首を意味のまとまり、いいかえればひと塊りの完結感として読むことは不可能だと思う。また作者の身になって推測しようとしても感覚や意味

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    sphynx 2017/06/01
  • マナーとは何か――村上リコ『図説 英国社交界ガイド』を読む - mmpoloの日記

    村上リコ『図説 英国社交界ガイド』(河出書房新社 ふくろうの)を読む。副題が「エチケット・ブックに見る19世紀英国レディの生活」。18世紀の産業革命の結果、19世紀にイギリスではブルジョワジーが繁栄を極めた。豊かになった中流階級が貴族や地主たちからなる上流階級への接近を図った。そのためのエチケット・マナーを教授する「エチケット・ブック」がよく売れた。書は当時のエチケット・ブックの分析を通じて、どんなエチケットが必要とされたかを紹介している。 社交界とは、(……)貴族や地主からなる上流階級の人びとが交際するコミュニティだ。そこには、権力・権威をなるべく少数の人間の手中にとどめ、新参者が増えすぎないように防ごうとする力が働く。社交界に属する家系に生まれ育った人なら、当然身につけているはずの風習も、外部の人間にはわからない。そのため、貴族の世界の基的な交際のルールに通じているかどうかが内と

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  • カート・ヴォネガット『国のない男』を読む - mmpoloの日記

    カート・ヴォネガット『国のない男』(中公文庫)を読む。アメリカを代表するSF作家カート・ヴォネガットは2007年に84歳で亡くなった。書は2005年に発行された最後のエッセイ。文庫の帯には「遺言」と書かれている。 『のゆりかご』や『スローターハウス5』、『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』の作家ヴォネガットは最後に何を伝えたかったのか。 「進化」なんてくそくらえ、というのがわたしの意見だ。人間というのは、何かの間違いなのだ。われわれは、この銀河系で唯一の生命あふれるすばらしい惑星をぼろぼろにしてしまった。それも、この100年ほどのお祭り騒ぎにも似た交通手段の発達によって。うちの政府がドラッグに戦いを挑んでいるって? ドラッグよりガソリンと戦え。わあれわれの破壊中毒こそが問題なのだ! 車にガソリンを入れて、時速150キロで走って、近所の犬をはねて、徹底的に大気を汚染していく。ホ

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    sphynx 2017/04/23
  • 佐藤優『君たちが知っておくべきこと』を読む - mmpoloの日記

    佐藤優『君たちが知っておくべきこと』(新潮社)を読む。副題が「未来のエリートとの対話」とあって、灘高校の生徒たちと3年にわたって3回対話したことの記録である。2013年と2014年、2015年のそれぞれ4月に灘高生たちが佐藤の家に集まって対話というか、佐藤の講義を受けている。3回のテーマはそれぞれ「真のエリートになるために」、「戦争はいつ起きるのか」、「僕たちはナショナリズムから逃れられない」というもの。 佐藤は灘高生たちは日のエリートの予備軍だ、君たちが真のエリートになるためにと、様々なアドバイスをする。エリートという存在を否定的にとらえるのではなく、エリートはどこの国、どこの社会にもいると肯定的にとらえている。 佐藤は戦後の日政治家について、例をあげて評価をする。鳩山元首相は、 佐藤  ……彼は修士を二つ取って、博士論文もスタンフォード大できちんと書いています。マルコフ連鎖という

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  • 大八というラーメン店があった - mmpoloの日記

    東京六木に大八という名前のラーメン店があった。地下鉄日比谷線の六木駅を降りて国立新美術館またはSHOUNANDAI MY ギャラリーへ行くとき、近道で東京ミッドタウン前に斜め左に抜ける小路がある。小路を入ってすぐのところにその大八があった。今は写真のとおりまるで廃屋のような姿をしている。抵当物件にでもなっているのだろうか。 大八について20年前のグルメにはこう紹介されていた。 六木のラーメン屋としては20年を越える老舗といえる店。自己流で始めたというが、ファッショナブルな街六木に良く溶け込んでいる。めんは細く、ゆで方に充分な神経を使っている。鶏がら、豚骨、野菜を長時間煮込んでとったスープに、生じょうゆを加えた味付けは、さっぱりしたなかにもこくがある。具はチャーシューとメンマに、青いいんげんが加わるだけのシンプルなもの。ラーメンのほかにはワンタンメンの人気が高い。(後略) ●メモ/

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    sphynx 2017/02/08
  • ブルガーコフ『犬の心臓・運命の卵』を読む - mmpoloの日記

    、 ブルガーコフ『犬の心臓・運命の卵』(新潮文庫)を読む。「Star Classics―名作新訳コレクション―」の1冊。このシリーズではグレアム・グリーン『情事の終り』も良かった。 ブルガーコフはソ連の作家だが長くソ連内では発禁だったという。ソ連の民主化ペレストロイカによってようやく発行され、『巨匠とマルガリータ』はベストセラーになり、ガルシア=マルケスはブルガーコフを師とあおいで20世紀最大の作家とみなしたという。 「犬の心臓」は、死んだ男の睾丸と脳下垂体を移植された野良犬が人間になって、様々な不行跡を行うというもの。人間になった犬は下品で好色でずるくてどうしようもない。これは革命によって権利を得たプロレタリアートへの風刺以外に読めそうもない。 「運命の卵」は、偶然発見された赤い光線を浴びた卵から孵化した両生類や爬虫類が、異常に大きく成長し繁殖力も旺盛になって暴れるという、これまたロシア

    ブルガーコフ『犬の心臓・運命の卵』を読む - mmpoloの日記
  • 小谷野敦『文章読本X』を読む - mmpoloの日記

    小谷野敦『文章読X』(中央公論新社)を読む。何種もある文章読のうち、斎藤美奈子がそれらを揶揄して書いた『文章読さん江』以後、再びこのテーマで書く作家が現れるとは思わなかった。でも小谷野のおもしろく、成功していると思った。 小谷野は先人たちの文章を取り上げる。まず有吉佐和子が厳しく批判されている。 私が有吉の作品を読んで、文章が純文学だと思ったのは『華岡青洲の』くらいである。ほか『和宮様御留』などもまだいいが、『恍惚の人』『紀ノ川』『出雲の阿国』などは、何とも通俗で通読に耐えなかった。それがまた、ほかの大衆作家と言われる人たちに比べても、耐えがたいのである。海音寺潮五郎などの歴史作家はもちろん、石川達三などは読めるが、有吉のものは読めない。 歴史作家では山岡荘八が批判される。 歴史作家の中で、飛びぬけて文章がひどいのは、山岡荘八である。私はあの長大な『徳川家康』を、大河ドラマにな

    小谷野敦『文章読本X』を読む - mmpoloの日記
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    sphynx 2017/01/25