隣家の息子というキャラが昔のわたしの書き物には頻繁に登場した。が、ここのところ登場しなくなったからと言って何処かに行ったとかいうわけではなく、現在でも彼は隣家に住んでいる。 思えば、これが貧民街の特徴なのである。 みんな、現在でも、いつまでたっても同じ家に住んでいる。親の家を飛び出して、自立したり、彼女を妊娠させて所帯を持ったりした者も、様々のものを破たんさせてすぐ実家に帰ってくる。 思えば7年前、わたしが雑文をしたため始めた頃の隣家の息子は、10代であった。それがいつの間にか20代になり、成人した頃にはすでに「週末にしか子供には会えない」タイプの父親となっており、今夏のロンドン暴動の折には、フディーズの暴れぶりをニュースで見ながら、老人のように背中を丸めて紅茶を飲んでいた。(彼はアルコール依存症となってぐじゅぐじゅと大変だった時期もあったが、子供に会う権利を失わないためにリハビリした)。