近藤ようこ1957年新潟県生まれ。79年「ガロ」に投稿し漫画家デビュー。作品に『見晴らしガ丘にて』『死者の書』等。岩波書店のサイトで夏目漱石原作『夢十夜』を連載中。 四年前に『戦争と一人の女』という本を出した。坂口安吾の『戦争と一人の女』『続戦争と一人の女』『私は海をだきしめていたい』という三つの短篇を、私なりに組み合わせて一つの話に漫画化したものだった。 日本は負けると信じている男女、国策映画の脚本を依頼されている野村と女郎あがりの女(名は与えられていない)が、どうせ戦争で滅茶々々になるなら、今から滅茶々々になろうといって刹那的な同棲生活をしている話だ。 昭和二十一年に発表された『戦争と一人の女』はGHQの事前検閲で多くの重要な部分を削除された。たとえば「空襲国家の女であった。女が野村を愛すのは、野村の中のものではなく、空襲の中にその愛情の正体があるのを、女だけが知らないだけだ。」「野村
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