半藤一利『文士の遺言』(講談社)を読む。副題が「なつかしき作家たちと昭和史」とあり、表2の惹句にも「昭和史としての作家論!」とある。司馬遼太郎に関するエピソード、松本清張に関するそれ、そして永井荷風、森鴎外、坂口安吾、志賀直哉、吉井勇、丸谷才一、阿川弘之、菊池寛、文学界、宮崎駿などが語られる。 「あとがき」にこうある。 本書を担当した編集者の加藤真理さん(……)が、頼まれてほうぼうの雑誌に書き散らしたものをきびしく取捨し、本1冊分になるように見事に編集して、ドーンと目の前におきました。その上に、講談社第一事業局の村上誠、こちらはニコニコとした笑顔で、加藤さんにエールを送り続けるのです。本書はこのようにしてできあがりました。 半藤が「頼まれてほうぼうの雑誌に書き散らしたもの」をまとめてできたのが本書なのだった。半藤の昭和史に関する本を何冊か読んで、教えられることが多々あり、嫌いな著者ではなか