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ブックマーク / brevis.exblog.jp (11)

  • ストップ・ロス・オーダーと撤退の知恵 | タイム・コンサルタントの日誌から

    渋谷から東横線の各駅停車に乗った。たしか都内での研究会か何かの帰りだったと思う。ふだんは急行か特急に乗るのだが、その夜は何だかくたびれていたので、多少すいていた各停で座って帰ろうと思ったのだ。ところで、渋谷では穏やかな夜空だったのに、電車が5つめの都立大学駅に着く頃から、雷とともに急に激しい雨が降り始めてきた。折りたたみの小さな傘しか持っていない。でも、初夏の夕立だろう、いずれすぐやむにちがいない、と高をくくっていた。 しかし、電車は都立大の駅に停車したまま、ちっとも動き出さない。ホームに降り注ぐ雨は、しぶきとなって開け放たれたままのドアから車内にも吹き込んでくるようになった。しばらくしてから車内アナウンスで、「信号系統への落雷のために、全線がストップしております。復旧作業中ですが、まだしばらく時間がかかる見込です」という。外は相変わらずのひどい雨が続いている。ほんの通り雨という感じではな

    ストップ・ロス・オーダーと撤退の知恵 | タイム・コンサルタントの日誌から
    sphynx
    sphynx 2011/09/04
  • 戦略シンドロームと改善病 | タイム・コンサルタントの日誌から

    もう何年も前になるが、「生産革新フォーラム」で診断士仲間と長野まで工場見学に行ったことがある。自動車関係の電装部品を作っている会社だった。そこではトヨタ系の指導を受けてジャスト・イン・タイム生産を心がけ、さまざまのカイゼンと工夫を製造現場でしていた。U字型レイアウトのセル生産ラインでは、女性工員が混流・一個流しの部品をてきぱきさばいていて、手際の良さに驚かされるとともに、歩幅や部品を取る手の位置まで最適化した機械配置に感心した。 その会社では、納入先からの指図はカンバンで受け取り、そして部品購入先への指示もまたカンバンで行う。工場ではカンバンを受け取ったら、それを指示棚に「差立て」する。棚は時間帯別になっていて、職長が順番にそれを実行していく。このとき、あえて同種の部品のカンバンは時間帯をばらして置いていく。4枚あったら、9時・11時・14時・16時、という風に置くのである。トヨタ生産方式

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    sphynx 2010/10/27
  • リスクという言葉自体がリスキーである | タイム・コンサルタントの日誌から

    ビジネスにおけるリスクを語る際、非常に厄介な事実が一つある。それは、「リスク」という語の定義がうまく定まっていないことだ。Aという人の語るリスクと、Bという人の受け取るリスクが同じ物事を指しているとは限らない。いや、違うことを言っている可能性の方がずっと高い。各人の理解にブレ(不確実性)がある。リスクについて語ることは、それ自体がすでにリスキーな事なのだ。 たとえば、人に「最近遭遇したリスク事象の例を挙げてください」と質問したとしよう。たいていの場合、返ってくる答えは「発注先が納期を一月半も遅らせてきたんです」とか「先月自転車で事故りまして」といったものだ。これらは実際に起きてしまったトラブル事象、すなわち『issue』(問題)である。リスクという語は、来は起きる前の可能性を指す概念のはずである。だから、「発注先の手際がまずくて納期に遅れそうになり、気を揉みました」とか「自転車のブレーキ

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    sphynx 2010/10/04
  • 買い物の流儀と法則 | タイム・コンサルタントの日誌から

    デパートの売り子を見ていると、“この仕事はシステム・アナリストに似ているな”と、よく思う。上手な売り子は、お客が来て商品をあれこれ見ては悩み、あれにしようか、これにしようかと考えるのを、しばらく任せておく。そして、客が自分に似合いそうもない服を選び始めると、控えめに、だがはっきりと、「お客様には、こちらがお似合いじゃありませんか」と口をはさむ。お顔の色が映えるとか、体つきにしっくりなじむとか。そして、客がそれなりに納得して買い物できるように、うまく誘導していく。必ずしも高価な商品をすすめるとは限らない。 上手な売り手というのは、単に客が「欲しい」というものをすすめるのではなく、客が「必要としている」ものを見分ける力を持っている。そして、“こちらの方がシックですよ”などと相手がその気になるよう表現する能力もある。「これは、自分が選んだのだ」そう信じれば、顧客満足もみたされよう。これこそまさに

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    sphynx 2010/08/03
  • 自分自身を予約する | タイム・コンサルタントの日誌から

    個人の時間管理においては、スケジュールとTo Do Listの統合が一番の課題である。グループウェアとか、パーソナル・スケジューラなどのソフトでも、たいていこの二つの機能は揃えているが、画面は別々にある。ところで、私の同僚は、この問題に、ちょっと風変わりだが、見事な解決をつけていることを、最近知った。 私の課題をもう一度述べておこう。私は基的に、会社でやるべき仕事のTo Do Listを、一元管理している。また、自分の予定はすべて、グループウェアのカレンダーに入力している。そして、朝、会社の席に座ったら、まずその日にやるべきアクション項目をTo Do Listから拾い出して優先順位をつけておき、また打合や来客などのイベント的な予定を確認する。 問題なのは、この二つのデータが別々に存在していることだ。両者は同じグループウェアに登録しているが、二種類の画面を行ったり来たりしなければならない。

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    sphynx 2010/07/25
  • 時計の針を進めておいてはいけない | タイム・コンサルタントの日誌から

    あるとき、ビジネス雑誌の編集者の方に、「スキマ時間の活用法」というテーマでインタビューを受けた。日常生活や仕事の上で、10分とか20分、ふと時間ができてしまうことがある。電車での移動時に乗り換え待ちになるとか、アポイント先を訪問したら、思ったより早く終わってしまって、次の予定まで空きが出てしまうときなどである。こうした余裕時間をどう活用するべきか、時間管理術の観点から伺いたい、という質問であった。たとえば外国語の単語学習に充てるとか、メールをチェックするとか、次の訪問先の株価動向をネットで調べるとか、そんな感じの答えを期待されていたようだ。 私は、自分であらかじめ確保した集中できる時間と、外部からイベント・ドリブン的に与えられる時間では、その「質」が違うことを説明し、また自分だったらまずTo Doリストの見直し時間に充てるだろう、と答えた上で、逆に問い返した。「あなたは、当にそんな小さな

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    sphynx 2010/07/19
  • マネジメントにはテクノロジーがある | タイム・コンサルタントの日誌から

    拙著「時間管理術」(日経文庫)にも書いたことだが、私は毎朝、会社の席に着くと、会議等の予定とTo Doリストを確認し、一日の時間の使い方を決めることにしている。ほんの5分程度の作業である。そして、一日の仕事の終わりには、朝決めたその日の予定作業表に実績時間を記入し、日誌に転記して(必要ならば)ごく手短なメモをつける。ほんの10分足らずのことであるが、これを日課にしている。 計画や、記録分析は、Plan-Do-Seeの一環である。これらがあってはじめて仕事のマネジメント・サイクルが完結する。すなわち、朝の段取りも夕方の日誌も、小さくても自分自身の仕事のマネジメント業務だと言える。 ところで、あるとき仕事上の大先輩と、議論になったことがある。その大先輩も一日の作業予定表を朝作る習慣なのだが、それは会社に来る前に(家で)作成しているし、皆もそうすべきだという。私のように会社に来てから定時の中でや

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    sphynx 2010/07/12
  • 日本メーカの生き残る途 - 元ソニー取締役・金辰吉氏の講演から | タイム・コンサルタントの日誌から

    金辰吉氏と言えば、ソニー中村研究所専務、ソニー・グローバル生産革新部門長を歴任されたのち、独立して、現在は㈱ワークセルコンサルティング代表取締役を務められる著名な論客である。また、'90年代における日企業復活の原動力となった『セル生産方式』の命名者としても、よく知られている。その金氏が、先日の日経営工学会春季大会で「日メーカの生き残る途」と題した特別講演をされ、とても興味深い内容だったので、ここにその聞き書きを記しておきたい。 金氏とは以前、経営工学会の特別委員会で何度か同席させていただいたこともあるが、きわめて率直かつユーモアあふれる物言いをされる方だという印象がある。むろん、ここに記すことは私自身が聴衆として書きとったメモの内容であって、金氏の来の発表原稿や主張と差違があるとしたら、その責は私にある。 金氏の講演は、何枚かの新聞の切り抜きから始まった。まずは直近の経済新聞から、

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    sphynx 2010/05/24
  • 脳のなかの幽霊 V・S・ラマチャンドラン、サンドラ・ブレイクスリー | タイム・コンサルタントの日誌から

    脳のなかの幽霊 (角川21世紀叢書) このは(古書で手に入れたが)、最近読んだ中のベストの一つだろう。これほど面白く、しかも強烈な刺激を与えてくれるは少ない。ラマチャンドランはインド生まれで英米で活躍している神経科医だが、このは脳や神経の仕組みだけでなく、自己とは何か、外界と知覚とは何か、実在とは何か、といった哲学の問題まで真っ正面に切り込んでいく。それがまた多数の臨床事例をともなっているから、きわめてスリリングなのである。 このは最初に、幻肢の問題から始まる。手を切断された患者が、失われた手の指などがまだあるように感じる現象である。あるように感じるだけではなく、ときにはそれがひどく痛んだりする。しかし、存在しもしない幻の指先の痛みを、医者はどうやったらなおせるだろうか? ところが、おどろいたことに著者は、あることをきっかけに、実験と推理をくり返して、とうとう幻肢の感覚の正体をつか

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    sphynx 2010/04/12
  • 流れ行く情報 | タイム・コンサルタントの日誌から

    いまから約160年前の6月、ペリー提督ひきいる黒船が浦賀沖に姿を現した。彼の主目的は、開国を要求する大統領の親書を幕府に手渡すことだった。そういう意味では、ペリーの航海の最大の任務は「情報の伝達」にあったと言ってよい。 しかし、日に来航した艦隊4隻のうち、3隻が測量船だったことは、あまり知られていない。じつは艦隊のもう一つの大きな任務は、江戸湾そのほか沿岸の測量と海図作りだった。 なぜ海図か。それは、海図が軍事行動のときにもっとも重要な情報となるからだ。だから、ペリーのもう一つの目的は、「情報の収集・集積」だったとも言えよう。 そして彼らは当初の目的通り情報を把握すると、その後、お得意の砲艦外交を行なって、有無を言わさず東洋の島国を開国させてしまった(軍事的威圧を背景にして小国を動かす砲艦外交は、ほとんどアメリカの国是といっていい)。 それから約90年後、日を占領した米軍は、日全土の

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    sphynx 2010/03/27
  • 二重貨幣を空想する | タイム・コンサルタントの日誌から

    昔、「自治の東大、自由の京大」という言葉があったそうだ。戦後しばらくの事である。これは東西二つの大学の文化・校風の違いを表しているともいえる。が、同時に、京都には自治が無く、東京には自由がない、という意味にも解釈できただろう。 この言葉の真偽はともかく、日が東西で何かと違っているのは事実である。60年安保で国中が政治的に沸騰していたころ、反体制側の人の中には、どうしても日米安保条約を政府が強行するならば、大阪に勢力を結集して「人民議会」をうちたて、東京政府の無効を宣言すればいいと主張した人たちがいたらしい。 私はときどき、このプランが実現されていたら世の中はどんなになっていただろうかと空想することがある。日が糸魚川・静岡構造線のあたりで東西に分断され、別々の国になっている。東日には親米的な政府が富国強兵・中央集権の武断政治を布いており、西日には議論好きな多党制の親大陸的な政府が連邦

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    sphynx 2010/01/11
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