わが国のカーボンニュートラルの達成とエネルギー安定供給の確保に向けて、電力システム改革の修正が必要であることは、これまでも繰り返し指摘してきた。経済産業省は現在、2015年に成立した改正電気事業法の附則の定めにしたがって注1)、これまでの改革の成果の検証を進めており、その中で必要な改革の修正に向けた議論を本格化させる方針だ。筆者も2024年2月開催の第70回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会で行われたヒアリングに招聘され私見を述べる機会を得た。そこで筆者が伝えようとしたことをベースとして、わが国の電力システム改革はなぜ行き詰っているのか、どう改善していくべきなのかを考えたい。 電力システム改革の“現在地” 電力システム改革のこれまでについては、資源エネルギー庁の資料で整理されている(2024年1月開催の第69回電力・ガス基本政策小委員会資料3。以下