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ブックマーク / ieei.or.jp (22)

  • わが国の電力システム改革はなぜ行き詰っているのか どう改善していくべきなのか

    わが国のカーボンニュートラルの達成とエネルギー安定供給の確保に向けて、電力システム改革の修正が必要であることは、これまでも繰り返し指摘してきた。経済産業省は現在、2015年に成立した改正電気事業法の附則の定めにしたがって注1)、これまでの改革の成果の検証を進めており、その中で必要な改革の修正に向けた議論を格化させる方針だ。筆者も2024年2月開催の第70回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基政策小委員会で行われたヒアリングに招聘され私見を述べる機会を得た。そこで筆者が伝えようとしたことをベースとして、わが国の電力システム改革はなぜ行き詰っているのか、どう改善していくべきなのかを考えたい。 電力システム改革の“現在地” 電力システム改革のこれまでについては、資源エネルギー庁の資料で整理されている(2024年1月開催の第69回電力・ガス基政策小委員会資料3。以下

    わが国の電力システム改革はなぜ行き詰っているのか どう改善していくべきなのか
  • 処理水問題の経験から社会に組み込むべき「風評加害」への免疫とリテラシー

    事前の予想通り、としか言いようがない。 東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水(以下処理水)についての話題は、実際に放出が格化すると急激にしぼんでいった。 8月に行われた1回目の放出開始直後こそ中国による日産海産物前面輸入禁止措置も取りざたされたが一時的で、10月に行われた2回目の放出では、ほとんど話題にさえされなかった。「汚染水の海洋放出反対」と繰り返し訴えてきた一部活動家や政党なども、すでに全く別の「反対」運動に移行した。この傾向はGoogle Trendsを見ても明らかだ。 当然ながら、放出後の海域モニタリング注2)でも全く問題は見られていない。そもそも『処理水を流しても有意な「汚染」など起こさない』ことなど、最初から判り切っていたことだ。 さらに、懸念されていた風評被害も起こらなかった。むしろ処理水放出直後からは沢山の応援の声が寄せられ、福島県内自治体へのふるさと納税は急

    処理水問題の経験から社会に組み込むべき「風評加害」への免疫とリテラシー
  • 再エネで脱炭素化は幻想である

    前回:再エネで脱炭素化は幻想である 第1部 自然変動再エネは安いのか?(その1)(その2) エネルギー革命は到来するか? 第一部では、太陽光、風力といった変動性の自然エネルギーで社会のエネルギー需要の多くを満たそうとした場合に直面する課題と困難さについて、OECD/NEAの報告書をベースに紹介してきた。第二部では、そうした既存の自然エネルギー技術によって社会全体のエネルギー技術革命を起こすことが、大きなチャレンジであることを別な観点から指摘している論考について紹介したい。筆者は元レーガン大統領の元科学技術アドバイザーで、現在マンハッタン研究所の上級研究員、ノースウェスタン大学工学部の製造科学イノベーション研究所行動所長を務め、2016年には米国エネルギー学会の“Energy Writer of the Year”を受賞しているMark P. Mills氏である。以下、同氏が19年3月に発表

    再エネで脱炭素化は幻想である
  • 亡国の環境原理主義

    10月末にエネルギーフォーラム社から「亡国の環境原理主義」と題する新著を上梓した。 このを書いた理由は、最近の地球温暖化をめぐる内外情勢に強い危機感を覚えたからである。2015年、パリ協定が合意された瞬間、自分が交渉官として追求してきた「全ての国が参加する公平で実効ある枠組み」がようやくできあがったと思った。国別目標は各国が国情に応じて設定し、目標自体には法的拘束力を持たせず、目標の設定、進捗状況の報告、定期的な改定というプロセスに法的拘束力を持たせたパリ協定は、京都議定書の失敗の教訓を活かした現実的な枠組みになるはずであった。 しかし、パリ協定合意後5年を経て、その期待は裏切られつつある。筆者のような「現実派」はパリ協定のボトムアップの性格を高く評価していたが、環境NGO等をはじめとする環境原理主義者は1.5℃~2℃安定化、そのための今世紀後半の全球カーボンニュートラルというトップダウ

    亡国の環境原理主義
  • 国民を困窮させる立憲民主党のエネルギー政策

    10月1日立憲民主党が「エネルギー政策」を発表した。注目されていないのか、マスコミでの報道も少なく論評も見かけない。だが、この政策が万が一実行されれば、私たちの生活はさらに苦しくなる。立憲民主党は一部の労働組合の支援も受けている筈だが、エネルギー政策を見る限り、同党は労働者のことを考えているとは思えないし、加えて、多くの国民のことも頭にないようだ。 立憲民主党は、次期衆院選の公約として「気候危機に歯止めをかける 自然エネルギー立国の実現」を掲げ、「自然エネルギー」比率を2030年50%、2050年100%とし、2030年に温室効果ガス排出量を2013年比46%削減の政府目標から55%以上削減に引き上げるとしている。また、枝野代表(以下敬称略)は「楽ではないが、達成は可能」とし、自然エネルギーのコストについては原子力や火力などと比較した場合「長期的に考えれば、圧倒的に低い」と主張している。

    国民を困窮させる立憲民主党のエネルギー政策
    ss56235
    ss56235 2021/11/04
    “再エネの導入増により直接恩恵を受ける人も限定的だが、コスト負担は国民全員に負の影響をもたらす。”
  • COP26はパリ協定の「終わりの始まり」にならないか?

    COP26の主催国である英国のジョンソン首相は、9月末にイタリアで開催された環境問題に関する会合の場で、10月31日から始まるCOP26に向けて、石炭、自動車、資金、森林の4分野の変革を国際社会に求めると強調し、COP26を気候変動問題の「終わりの始まり」とするように呼びかけた注1) 。COP26に向けては、議長国の英国のみならず、EUや米国バイデン政権が、G20主要国だけでなく主要な途上国を含む各国に2050年のカーボンニュートラル、2030年までのCO2排出大幅削減といった野心的な目標を掲げるように働きかけており、まさに「気候変動問題の終わりの始まり」の契機とすべく政治的な圧力を強化している。2007年以来、毎年このCOPの会議に参加し、交渉プロセスを観察してきた筆者の目には、確かにCOP26は「終わりの始まり」の契機となる気配が強まっているように見受けられる。しかし、それは「気候変動

    COP26はパリ協定の「終わりの始まり」にならないか?
    ss56235
    ss56235 2021/11/04
    “途上国の側から見ると、パリ協定で合意した内容を大きく逸脱して途上国に気候変動対策の強化を迫り、受け入れなければ貿易制限をかけると脅しながら、パリ協定で先進国が約束したはずの大規模な資金支援は”
  • 平成のダイオキシン空騒ぎは、現在の気候変動危機騒ぎと瓜二つ!

    自民党政権の今後を占う衆議院選挙。どの野党も「消費税を下げます」「10万円の給付金を出します」などと聞こえのよい美しきスローガンを放つ。この種の声は選挙のたびに聞くが、「世界に通用する日の産業を育てましょう」とか「テクノロジーをもっと発展させましょう」といった企業の活性化を訴える声はほとんど聞かない。かつては世界第2位を誇った日の1人当たりの所得はいまや韓国にも抜かれ、20台位をうろちょろしている。その背景にあるのは何だろうか。約30年前のダイオキシン騒動から続く“産業軽視の空気”なのではないだろうか。 そもそも新聞やテレビのメディアでは「産業を育てよう」という呼びかけ自体が否定的に語られる(報じられる)傾向が昔からある。私が取材でカバーしてきた遺伝子組み換え作物やゲノム編集作物で「日にも健全な形で遺伝子組み換え作物に関する産業(先進農業)を育成しなければならい」と言おうものなら、リ

    平成のダイオキシン空騒ぎは、現在の気候変動危機騒ぎと瓜二つ!
    ss56235
    ss56235 2021/11/04
    “何か特定のモノを犯人に祭り上げる空気の構図は変わっていないが、攻撃の対象となる悪役は時代によってくるくる変わる。ただし、命を脅かす原因を工業活動に伴う産物や工業文明(広い意味で資本主義)に求めること
  • 太陽光大量導入の不都合な真実

    再エネ拡大は必至 菅首相は4月22日に米バイデン大統領が主催した気候変動サミットに合わせて、2030年の温室効果ガス削減目標を13年比で46%削減し、さらに50%削減の高みを目指すと宣言した。従来の26%削減目標から一気に20%も上積みしたことになる。13年の排出量が14.1億トンなので46%削減でも7.6億トンを目指すことになり、直近の19年度排出実績12.1億トンから11年間で4.5億トンも削減しないといけない計算となる。これを実現するためには省エネの最大限の実施と自動車の電動化に加え、電力の脱炭素化が必須となるが、大規模脱炭素電源である停止中の原発の中で、審査終了・審査中を合わせて18基の原発が、20年以降にすべて稼働しても注1)、CO2削減に貢献するのは約7000万トン前後注2)である。そこで期待されているのが再エネの導入拡大であり、中でも計画から建設までの足が短く、FIT制度等に

    太陽光大量導入の不都合な真実
  • レジ袋有料化はグリーンウォッシュ

    2020年7月1日にレジ袋が有料化されて間もなく一年が経とうとしています。昨今、レジ袋をはじめプラスチックストロー、ペットボトルなどプラスチック製品の削減が叫ばれていますが、その主たる目的は「海洋プラスチック問題」とされています。たとえば、プラスチック資源循環戦略(令和元年5月)の「1.はじめに―背景・ねらい―」には以下の記述があります。 戦略の展開を通じて、国内でプラスチックを巡る資源・環境両面の課題を解決するとともに、日モデルとして我が国の技術・イノベーション、環境インフラを世界全体に広げ、地球規模の資源・廃棄物制約と海洋プラスチック問題解決に貢献し、資源循環関連産業の発展を通じた経済成長・雇用創出など、新たな成長の源泉としていきます。 また、プラスチック製買物袋有料化実施ガイドライン(令和元年12月)の「1.プラスチック製買物袋有料化制度の背景・概要」にはこう書かれています。 プ

    レジ袋有料化はグリーンウォッシュ
    ss56235
    ss56235 2021/07/04
  • 気候サミットの結果と今後

    米国が主催した4月22日の気候サミットにおいて、菅首相は「2030年にCO2等の温室効果ガスを2013年比で46%削減することを目指し、更に50%の高みにむけて挑戦を続ける」とした。これは既存の目標である26%に20%以上も上乗せするものだ。 同サミットでは、先進国はいずれも2030年までにCO2をおおむね半減すると約束したのに対して、他の国々は米国が求めた目標の深堀に応じず、先進国対途上国の対立が先鋭化することなった。以下に解説し、更に今後日はどうすべきか、提案をする。 バイデン政権の気候外交は百害あって一利なしだった 日が46%~50%としたのは、米国が50%~52%としたのに横並びにしただけだ。日はいつも米国と横並びだ。1997年に京都議定書に合意した時は米国の7%より1%だけ少ない6%だった。2015年にパリ協定に合意した時は米国と全く同じ26%だった。 何れの時も、米国は一

    気候サミットの結果と今後
  • 「小氷河期」(1300-1917)は寒く異常気象も多かった

    地球温暖化は、たいていは「産業革命前」からの気温上昇を議論の対象にするのですが、じつはこのころは「小氷河期」にあたり、自然変動によって地球は寒かったという証拠がいくつもあります。また、長雨などの異常気象も、この時期にはいまよりも多かったようです。 IPCCでは産業革命以降の地球温暖化を約0.8℃としておりますが、この大部分は小氷期からの戻りに過ぎないのかもしれません。 次の浮世絵は、歌川広重が描いた「東海道五十三次」(1833年刊行)のうちの有名な「蒲原夜之雪」です。蒲原は、静岡県の富士川河口にある町で、山奥ではありません。現在は温暖なこの地でも大雪が降っていたことが分ります。当時は太陽活動が低調で、1795-1830年はDalton極小期と呼ばれており、文化10年(1813)には大阪の河川が全て凍結したと摂陽奇観に記されています注1)。 拙著の『CO2温暖化論は数学的誤りか』(理工図書、

    「小氷河期」(1300-1917)は寒く異常気象も多かった
    ss56235
    ss56235 2021/05/10
    “小氷河期に異常気象[異常気象][環境]
  • 日本の削減目標引き上げ:失敗の歴史を繰り返すのか

    4月16日、菅総理がバイデン大統領と初の日米首脳会談を行った。強固な日米同盟の確認、中国の覇権拡大に対抗した台湾海峡の安全保障の重視等を明記した共同声明と併せ、バイデン政権が重視する気候変動問題については日米パートナーシップを結び、水素、CCUS、原子力等の技術協力、途上国支援等への取り組みが盛り込まれた。菅首相は22日に米が主催する「気候変動サミット」までに2030年▲26%に代わる新目標を公表する方向で検討するという。日政府は45%減を軸に調整しているが、報道によれば、米側はそれを上回る50%減を強く迫っているという。 中国の脅威がかつてないほど高まっている中で日米同盟の強化は極めて重要である。その一環として気候変動問題における日米協力を進めることも歓迎したい。 他方、削減目標の大幅引き上げに関しては、かつて気候変動交渉を戦ってきた身として、日が嘗て犯した2つの過ちを思い出し、「あ

    日本の削減目標引き上げ:失敗の歴史を繰り返すのか
    ss56235
    ss56235 2021/04/25
    “温暖化防止を至高の価値とする脱炭素原理主義はそれ自体有害であると思うが、それに再エネ原理主義、反原発原理主義が加われば、日本経済の自爆につながるのみである。”
  • 海洋エネルギーによる発電

    今年4月の初め、英国の環境監査委員会(Environmental Audit Committee)が、3ヶ月に亘る海流発電技術開発の現状調査の後、英国政府に対して、英国の海洋エネルギーの潜在量を考えると、開発促進に向けた資金支援を早急に行わなければ、風力発電技術開発で世界に後れをとったのと同じ状況に陥る可能性があるという内容の報告書を出している。資金支援を行うことによって、海洋エネルギー利用技術を輸出産業に育てる必要があるということだ。 これを見て、20年ほど前に英国から日の再生可能エネルギーについて調査に来ていたリサーチャーとの対話を思い出した。彼が、日の再エネ潜在量についてどう思うかと尋ねたのに対し、「太陽光や風力は当然だが、それ以外に海洋エネルギーの潜在量が多いと思う。英国も同様だが、大きく異なるのは、瀬戸内海と、世界最大規模の流速を持つ黒潮の存在だろう」と回答したのだった。

    海洋エネルギーによる発電
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    ss56235 2021/04/25
  • 菅直人元首相が思い出すべきこと

    (「EPレポート」からの転載:2021年3月11日付) 2月22日の衆議院予算委員会で質問に立った立憲民主党の菅直人元首相は、中国が昨年原発120基分の再エネ設備を導入した例に触れ、原発に頼らず再生可能エネルギーで日の全電力供給が可能だとして、農林水産省が推進している営農型太陽光発電を持ち出した。元首相は日の農地400万ヘクタールに太陽光パネルを設置し、その下で農業を行えば農家は農業と売電の両方の収入を得ることができると主張。全発電量は年間2兆kW時になり半分で日の全必要発電量を賄えるとして、農水大臣の意向を質した。大臣はさまざまな課題があると簡単に答えただけだった。 中国で昨年導入された設備量は太陽光4800万kW、風力7200万kWとされている。発電量を考えれば原発120基分には遠く及ばないし、現在16基の原発が建設中だ。それには触れないで、日では再エネで全て電力需要を賄えると

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    ss56235 2021/04/18
  • 医師が見たフクシマ 「被ばく」という見えない敵との闘い

    (「J-castニュース 会社ウォッチ」からの転載:2021年3月19日付) 東日大震災、そして福島第一原子力発電所の事故から10年が過ぎた。「フクシマ」は、同じ被災地の岩手県や宮城県より「復興」が遅れている。妨げているのは「被ばく」のリスクだ。ふるさとに帰れない住民がいる。「帰れる」のに、帰れない人も少なくない。風評被害もある。こうした状態が、あと20年、30年と続くかもしれない。 医師の立場から「フクシマ」をみてきた東京大学医学部 放射線医学教室准教授で放射線治療部門長の中川恵一先生に聞いた。 健康への影響はまったくない ――東日大震災、福島第一原発の事故から10年が経ちました。この10年で変わったところはありますか。 中川恵一先生:「この10年で特に何か変わったというところはありません。しかし、立ち返って反省する時期だと思います。『14メートルもの津波が来ることが想像できなかった

    医師が見たフクシマ 「被ばく」という見えない敵との闘い
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    ss56235 2021/04/07
    無理矢理避難させたことが一番の健康被害を生んでいると。
  • 2021年初の電力需給ひっ迫と価格高騰の経験に学ぶべきこと

    (「環境管理」からの転載:2021年3月号) 昨年秋より、わが国の電力システムの課題を問いかける事象が続いている。将来の供給力維持・確保を目的とした容量市場の第1回入札が行われ、菅首相による2050年カーボンニュートラル宣言、年末から年始にかけての電力需給ひっ迫と卸市場(JEPX)の高騰、さらに寒波に襲われた米テキサス州の電力価格急騰と輪番停電、福島県沖地震による関東圏の大規模停電など、電力供給システムの健全性を維持しつつ改革を進めることの難しさを思い知らされる事象が相次いだ。今回は、わが国における電力需給ひっ迫から何を学ぶべきなのかを考えてみたい。 わが国の電力システムの課題を問いかける事象あれこれ 昨年秋から、電力システム改革の意義を問いかけるような事象が相次いでいる。昨年9月14日には、日における容量市場の第1回メインオークションの結果が、電力広域的運営推進機関(OCCTO)より公

    2021年初の電力需給ひっ迫と価格高騰の経験に学ぶべきこと
    ss56235
    ss56235 2021/04/05
    “「油に始まり油に終わった」と評される太平洋戦争を経験し、その後オイルショックも経験しながらなお、燃料制約に対する備えが電力システム改革に組み込まれていなかったというのは、驚愕すべき危機感の欠如だ。エ
  • 脱炭素化と中国のしたたかな計算

    年1月11日のForeign Policy に「中国が数十年にわたる気候変動の行き詰まりを打開する(China Breaks Decades of Climate Gridlock)」という記事注1) が出た。筆者は米国のシンクタンクBreakthrough Institute 所長のTed Nordhouse である。温暖化、エネルギー問題に関する彼の論考は常に現実的であり、多くの場合、首肯するところが多い。今回の論考のポイントは以下のとおりである。 ● 中国は2060年ネットゼロエミッションを打ち出したことで地球温暖化をめぐるゲームの様相を大きく変えた。1990年代以来、中国は長らく「共通だが差異のある責任」をふりかざし、先進国の責任を追及する一方、自らは石炭をはじめとする化石燃料中心の潤沢なエネルギー供給に支えられ、経済力をたくわえてきた。 ● 世界の温暖化防止努力の成否カギを握っ

    脱炭素化と中国のしたたかな計算
    ss56235
    ss56235 2021/02/23
    “脱炭素化に向かう世界で影響力を強める環境NGOは中国に対してはひたすら甘い。彼らは日本、米国、豪州には何度となく化石賞を進呈しているが、中国をやり玉にあげたことはない。”
  • 発電は“ぬれ手でアワ”にあらず

    (「サンケイビジネスアイ」からの転載:2020年12月13日付) 記事を読むと、この新聞は東京電力などの大手電力会社を嫌いだと分かることがある。嫌いな理由の一つは、福島第1原発の事故だろう。事故を引き起こしたのは、安全対策を怠った東電、との報道が事故後は多くみられた。 中には、「電力会社は地域独占の下、コストを保証された総括原価主義により無駄な金を使ってきた」と言いながら、「コスト削減のため福島第1原発での安全対策を怠った」と矛盾する報道もあった。コストを保証されているのであれば、安全対策費を節約する必要はなかったはずだ。 将来の供給力を確保 最近、大手電力会社が悪者にされているのは、将来の供給力を確保する「容量市場」と東北電力・女川原発の再稼働だろう。一般の読者にはなじみがない容量市場の基を解説せずに、「大手電力会社の収入を増やし、消費者の負担を増やすのが容量市場」と説明するのは、いく

    発電は“ぬれ手でアワ”にあらず
  • 東京では冬のヒートアイランドで寿命が延びた

    地球温暖化やヒートアイランドに代表される都市化昇温は、熱中症などの暑熱による疾病や死亡のリスクを高める「悪玉」として認識されている。実のところ、戦後の日でさまざまな疾病や死亡の原因と考えられてきたのは冬の寒さである。この寒さによる死亡のリスクは、過去の地球温暖化や都市化(ヒートアイランド現象)により軽減してきたはずである。ヒートアイランドははたして人間の健康にとってプラスなのか、それともマイナスなのか? 1.猛暑vs暖冬 地球温暖化や都市化の進展に伴うヒートアイランド(熱の島:都市の気温が周囲よりも高い状態)は、熱中症などによる救急搬送者数の増加などの形で健康被害を促すと考えられており、政府機関からもその対策や適応の必要性が指摘されている注1)。国内でも暑熱に着目した研究がなされており、「地球温暖化=健康被害をもたらす悪玉」という意識が定着しつつあるように思える。しかしその一方で、冬の日

    東京では冬のヒートアイランドで寿命が延びた
    ss56235
    ss56235 2021/02/08
  • CO<sub>2</sub>温暖化説は1979年に終っていた

    菅首相の「2050年に温室効果ガス0」宣言や参議院会議における「気候非常事態宣言」などでCO2温暖化説が話題になっていますが、この説はMITの優れた気象学者だったR. Newellが1979年に発表した4頁の短い論文によって否定され終わっていた筈でした。 ところが、R. Cess, S. Schneider, W. Kellogg, V. Ramanathan, F. Luther, R. Watts, A. CraneらCO2温暖化論者たちはこの論文を激しく非難し、R. Newellは研究資金を得られない状況に追い込まれました。 コンピュータモデルを用いるIPCCのCO2温暖化説は、1958年にまだ貧しかった日を脱出して渡米したプリンストン大学の真鍋淑郎氏(以下真鍋)が創始しました。真鍋は基論文(1964/67)の1次元モデルとスパコン「地球シミュレータ」で走る気候モデルの原型であ

    CO<sub>2</sub>温暖化説は1979年に終っていた