パンク・ロックなのだが、レゲエなのだ。いや、レゲエなのに、熱き血潮たぎるロックであり、そしてまぎれもなくパンク――という1曲がこれだ。クラッシュの専売特許である必殺技「パンクな精神にて楽曲に取り組めば、元来それがどんなジャンルであろうとも、パンク・ロックになり得る」が、目に見えて発揮され始めたのは、ここらへんからだった。 歌詞が玄妙だ。オールナイトのレゲエ・コンサートをハマースミス・パレスに観に行った主人公が、思いついたことをつらつらつぶやく、という外枠なのだが、これが――大袈裟に言うと、まるでプルースト『失われた時を求めて』のマドレーヌ効果のごとく――寂れゆくイギリスの「現在」の、かなり広い範囲を次から次へとで素描していくことになる。この点で当曲は、クラッシュの代表曲のひとつとして、またパンク・ロック史に残る名曲として、多くの人に記憶されている(レゲエなのに)。 主人公は、社会に幻滅はし