たった一つの数字の「偽り」が国の将来を変えることもある。今日は、そういう話へ読者を御案内する。残念ながら、前回とは違い、専門的な説明になるので、一般の方には難しいかもしれないが、お付き合いいただければ幸いだ。 ……… 経済財政諮問会議が8/8に公表した『中長期の経済財政に関する試算』は、消費増税を正当化する上で極めて重要な文書である。新聞各紙が報じたように、計画どおり増税をして、ようやく2015年度の財政再建の目標を達成でき、2020年度の目標には、それでも届かないという内容になっている。 この『試算』を見て、筆者が不審に思ったのは、昨年夏に行われた「試算」では、2015年度の目標を「過剰」に達成することになっていたのに、今回はギリギリで達成する形に変化していたことだ。昨年の試算時より、経済は好転しているのだから、これはおかしい。何らかの数字の操作を行い、都合の良い形にしたに違いない、そう
「うちが2、3議席増えても政権を取ることにはならない。でも、風穴は開けられる。衆参ねじれが解消されて『国会は凪になる』といわれるが、面白くしますよ」(共産党中央委幹部) 久々に共産党が元気だ。ふがいない民主党に代わって、参院選で反自民票の受け皿になり、選挙区と比例と合わせて8議席を確保した。 選挙区で勝ち上がった吉良(きら)佳子氏(東京)や辰巳孝太郎氏(大阪)は、非正規雇用や就職難の若者の共感を得るために、共産党が「4年越しで育ててきた」(同幹部)若い候補者だ。 彼らが開ける「風穴」とは何なのか。 「ブラック企業問題です。特に、吉良議員は徹底的に追及する『キラークイーン』。標的は、自民党で初当選した外食大手ワタミ創業者の渡辺美樹氏です」(同) 渡辺氏はベンチャー企業のリーダーとして「時代の寵児」だったが、週刊誌が社員の過労自殺を報じたのをきっかけに、一転、「ブラック企業」の代名詞がついた。
朝日新聞の本日のオピニオン欄に参院選の総括を寄稿した。 日曜の夜の開票速報を見てから、月曜の朝起きて必死に4000字。 時間がなかったので、掘り下げが浅いけれど、それはご容赦頂きたい。 もう朝日のウェブでも公開されているので、ブログでも公開。 参院選の結果をどう解釈するか、テレビで選挙速報を見ながらずっと考えていた。 最近の選挙速報は午後8時ぴったりに、開票率0%ではやばやと当確が打たれてしまう。角を曲がったところで出合い頭に選挙結果と正面衝突したような感じで、一瞬面食らう。日曜の夜もそんな気分だった。 とりあえず私たちの前には二つの選択肢がある。「簡単な解釈」(これまで起きたことが今度もまた起きた)と「複雑な解釈」(前代未聞のことが起きた)の二つである。 メディアは「こうなることは想定内だった」「既知のことがまた繰り返された」という解釈を採りたがる。それを聴いて、人々はすこし安心する。「
参議院を「良識の府」と呼んだのが誰なのかは定かではないらしい。しかし、言わんとしたかったことはよく分かる。参議院議員の任期は6年と長い。衆議院と違って解散もない。それゆえ政局に左右されず国政の場に留まれる。そんな参議院だからこそ党利党略から距離を取り、ポピュリズムに流されることなく、より長期的、巨視的な立場で国政に関われる。公共的な政策論争は参議院でこそ可能であると言えるかもしれない。 しかし今回の参院選はそうした参議院らしさからあまりにも掛け離れていた。主に争点になったのは経済政策であったが、アベノミクスと呼ばれる現与党政権の経済政策について、自民党がその成果を誇り、野党はそれに対する不信感を述べるだけに終始した印象がある。つまり長期的、巨視的な立場からの政策論争は不在であった。参議院選だからこそ今後の原発政策や憲法改正のように、この国の未来に関わる問題が争点になるべきだったのだが、それ
東京都議選について簡単な分析を行ったのでここで紹介しておきたい。 自公圧勝の背景 都議選についての個人的な注目点は、現在の安倍自民党の世論調査に見られる数値上の「好調さ」がどの程度選挙結果に反映されるかである。2012年衆院選では、自民党は議席数では大勝を収めたものの、得票数などのデータは大敗を喫した2009年に比較しても悪化していた。有権者のうち比例区で自民党に投票した割合(絶対得票率)は17%以下であった。その後、株価の上昇等に代表される景気の気の部分の向上もあり、安倍内閣と自民党の支持率は高く推移している。 しかし、世論調査結果と選挙結果は単純にリンクするものではない。また内閣支持率は、政党支持が流動化している現在では乱高下しやすい状況にある(『「政治主導」の教訓』所収の拙稿参照)。世論調査だけでなく、実際の選挙結果でも、安倍自民党の支持が着実に浸透しているのかどうか、2012年
安倍内閣は18日、旧日本軍の慰安婦問題に関する国連の拷問禁止委員会の勧告について、「法的拘束力を持つものではなく、締約国に従うことを義務づけているものではない」とする答弁書を閣議決定した。紙智子参院議員(共産党)の質問主意書に答えた。 委員会は勧告で、日本維新の会の橋下徹共同代表らの発言を念頭に、「当局者や公的人物による事実の否定や、それによって再び被害者を再び傷つける行為に反論すること」を日本政府に求めている。菅義偉官房長官は記者会見で、「日本政府の立場は何回となく会見している。政府として改めて発言することはないという趣旨だ」と説明した。 関連記事(声)市長の職責果たしているか6/6「国際社会は納得しない」 国連事務総長、橋下氏を批判6/3橋下氏の一連の慰安婦発言、潘国連総長が批判 「国際社会は納得せず」6/3強制連行の有無「政府が明確に」 橋下氏、国連委勧告に6/1慰安婦発言を国連委
参院厚生労働委員会理事会は23日、新聞広告の大手派遣会社社長との対談で「日雇い派遣」の原則禁止の見直しを主張した丸川珠代厚生労働政務官を内閣提出の法案審議で政務官としての答弁を認めない「謹慎扱い」とすることを自民党も含めた全会一致で決めました。 問題の新聞広告で丸川氏は、大手派遣会社「ヒューマントラスト」の阪本美貴子社長と対談。原則禁止を順守させるべき政務官にもかかわらず「今夏に一定の結論を出して次は労働政策審議会で議論する」と日雇い派遣原則禁止の見直しを進めていく考えを強調していました。 理事会では、丸川氏の問題を含めた質疑や、ヒューマントラスト社を含めた派遣会社の調査を今後も続けることを確認しました。
自民党は15日、与謝野馨元官房長官(74)を復党させる方針を固めた。与謝野氏は2010年4月、たちあがれ日本の結成に参加し、自民党は反党行為として除名した。党内には復党に異論もあったが、与謝野氏が政界引退後、わび状と復党願を出し、今年旭日大綬章を受章したこともあって認めることにした。 党関係者によると、与謝野氏はわび状で「民主党政権で大臣になり迷惑をかけた。後進の育成のために尽力していきたい」と記しているという。自民党は近く党紀委員会を開いて復党を認める。除名した議員を復党させるのは初めて。 与謝野氏はたちあがれ日本の共同代表に就任後、11年には民主党の菅直人首相(当時)の要請に応じて経済財政相として入閣。昨年の衆院選には立候補せず、政界を引退した。 関連記事与謝野氏、自民復党へ(5/16)大江参院議員が辞職へ 夏の参院選目指し自民復党の意向(5/1)菅官房長官「沖縄県連、自民方針と違
日本共産党の山下芳生議員は14日の参院予算委員会で、新卒社員の「使い捨て」を繰り返す悪質な「ブラック企業」の実態を示し、政府に本腰を入れた対策を求めました。 労働の規制緩和中止求める 参院予算委 山下議員が指摘 山下氏は、ブラック企業が有名企業にまで広がっていると強調。新卒の若者を大量採用、長時間・過密労働、パワハラなどで駆り立て、精神的にも追い詰めて大量退職に追い込むやり口を、大手衣料品販売店「ユニクロ」を例に告発しました。 ユニクロは入社後3年以内に50%以上が離職、休職者の42%がうつ病などの精神疾患と報じられています。山下氏は、20歳代の社員が半年で店長となって目標達成からアルバイト管理まで過酷な労働を強いられ、3カ月でうつ病になり、退職に追い込まれた実態を紹介。離職率の高い企業名を公表することや採用募集時に離職率の明示義務付けを行うよう求めました。 安倍晋三首相は「採用した以上、
安倍首相、排外的デモを非難=フェイスブックで呼び掛けへ 安倍首相、排外的デモを非難=フェイスブックで呼び掛けへ 7日の参院予算委員会で民主党の鈴木寛氏が、在日韓国・朝鮮人を対象とした排斥的なデモが国内で横行しているとして、安倍晋三首相に見解をただした。首相は「一部の国、民族を排除しようという言動があることは、極めて残念だ」と非難した。 デモは「コリアンタウン」として知られるJR新大久保駅周辺などで今年2月ごろから行われている。首相は「他国や他国の人々を誹謗(ひぼう)中傷することで、われわれが優れているという認識を持つことは間違っているし、結果として自分たちを辱めていることにもなる」と強調した。 鈴木氏は「首相のフェイスブックにもそうした(排外的な)書き込みが増えている」と指摘し、行き過ぎた言動は慎むよう呼び掛けることを提案。首相は「私のフェイスブックでそういうエスカレーションを止めるべ
「橋下維新」に公明・創価学会が嫌悪感 「右旋回」の維新に食い込む「幸福の科学」。公明党大阪市議団も「アンチ橋下」にポジション変え。 2013年5月号 POLITICS 参院選まで3カ月。日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)が大きく右旋回しだした。大阪から「行政改革」と「地方分権」を訴え、既成政党の政治を変える期待を一身に集めてきた橋下だが、ウルトラ保守勢力が集まる旧太陽の党と合流して方向を見失ったのか。「脱原発」をかかげ関西電力を猛烈に追及していたことなど遠い昔の夢のようだ。 合流後初の党大会が開かれた3月30日の前後、メディアはいっせいに旧維新系と旧太陽系の東西対立を書きたてた。橋下と国会議員団の相互不信、そもそもの政策の違い。バラバラの集団をまとめ、自身の求心力を高める手を打つ必要に迫られていたのは確かだ。その答えが党大会で見えた。 ひとつは旧太陽の党寄りに政策を右旋回することだ。
【イスタンブール=北川学】トルコのエルドアン首相が3日、同国を訪れた安倍晋三首相との首脳会談で、2020年夏季五輪の招致を断念するよう求めた。会談後の記者会見でエルドアン氏自身が明らかにした。同氏の発言について、AP通信は「冗談めかしたもの」と報道。一方でトルコ地元紙の記者は「彼は本気だ」としており、真意はよくわかっていない。 トルコのアナトリア通信などによると、エルドアン氏は会見で「東京はかつて五輪を開いた。招致をあきらめ、トルコにやらせて欲しいと安倍氏に頼んだ。東京都知事に伝えてくれたらありがたい」と発言。安倍氏は「日本国民が五輪を楽しめるようにしたい」と答え、受け流したという。 20年五輪の開催地には東京とイスタンブール(トルコ)、マドリード(スペイン)が立候補。9月の国際オリンピック委員会(IOC)総会で正式に決まる。 関連記事首相、猪瀬氏発言を陳謝 五輪招致めぐり、トルコ首相
小林 節(こばやし・せつ)氏 憲法学者、慶應義塾大学教授、弁護士。日本海新聞・大阪日日新聞客員論説委員。近著『「憲法」改正と改悪』など著書多数。(撮影:前田せいめい、以下同) 小林 自民党は憲法改正を目的につくった党でありながら、歴代内閣は自分の内閣の間は憲法は議題にしないと言って逃げてきました。 ところが、安倍(晋三、首相)さんだけは憲法を必ず議題にし、前の安倍内閣の時に憲法改正国民投票法を作った。安倍さんは今も本気で動いているという感じがします。 私は憲法の中身を変えることについて大賛成です。よい憲法にしようと。憲法9条の改正は私の持論であり、その点では安倍(晋三、首相)さんとまったく一致しています。 侵略はしない、自衛はする、そのための軍隊は持つ、条件次第では国際貢献で海外派遣もする、と。そうやって堂々と国民に語りかけて、憲法9条改正に真正面から取り組めばいいんです。 しかし、今の動
「私たちが間違った予算を組んだことは猛省しなければならないが、まだ動いている事業があるから執行停止してほしい」-。 民主党の蓮舫元行政刷新担当相は25日の参院予算委員会で、民主党政権で始まった東日本大震災の復興予算の無駄を削減するよう要望した。 思わぬ自己批判に不意をつかれた安倍晋三首相は「われわれの政権は皆さんが作った負の遺産を背負っている」と指摘した上で、当惑交じりに「予算執行については厳正に対処していく」と強調した。
衆院の憲法審査会は十一日、第六章「司法」を議論した。この中で、自民党議員が、先の衆院選での「一票の格差」をめぐり、全国の高裁で相次いだ違憲・無効判決に対し、相次いで異論を唱えた。 自民党の中谷元氏は、選挙に関する事項は法律で定めると規定した憲法四七条を挙げ「選挙制度は憲法が直接法律に委ねている。適合するかの判断は第一義的に国会に委ねられる」と指摘し、司法が選挙制度に異論を唱えることに反発。「選挙区は人口比のみでなく、地勢や交通事情を総合的に考慮して定められるべきだ」と一票の価値だけで制度を評価すべきではないとの考えを示した。 同党の土屋正忠氏も「『鳥取と東京に一票の格差があるからけしからん』という声を、聞いたことがない。国民感覚を代弁しているのか」と高裁判決を批判。憲法の解釈についての判断を下す憲法裁判所の設置を提唱した。
黒田日銀は緒戦で華々しい勝利を収めた。その衝撃は債券市場が混乱するほどだった。勝負を恐れない自信あふれる元大蔵官僚の面目躍如たるものがある。しかし、まだ、「真珠湾攻撃」に成功しただけだ。脱デフレという戦略目標を達成できるかどうかは、これからである。米雇用統計の増加数10万人割れが撃ち漏らした「空母」とならねば良いが。 雇用統計の発表を受け、NYダウは下げた。週明けにダウと連関性が高い日経平均は下げるおそれがある。日本が金融緩和をしても、米国の景気が減速すれば、金利先安感から円高株安に振れやすくなる。金融緩和は相対的なものである。また、円安を保っても、米国消費が鈍って自動車が売れなることだってある。 そのあたり、日経を見ると、備えはしているようだ。「今週から新手法、残存5年超を1.2兆円」とあり、さっそくニュースを届けている。金曜に乱高下した長期金利を押さえ込もうとする意思が伝わってくる。日
去年12月の衆議院選挙で、選挙区ごとの1票の価値に最大で2.43倍の格差があったことについて、広島高等裁判所は、一部の選挙区の選挙を無効とする判決を言い渡しました。 国政選挙を無効とする判決が言い渡されたのは戦後初めてです。 去年12月の衆議院選挙は、選挙区ごとの1票の格差が最大で2.43倍と、前回、4年前よりもさらに広がり、弁護士などの2つのグループが「国民の意思を反映した正当な選挙と言えない」などと主張して、全国で選挙の無効を求める裁判を起こしています。 このうち、広島1区と2区を対象にした裁判の判決が広島高等裁判所で言い渡され、筏津順子裁判長は、一部の選挙区の選挙を無効とする判決を言い渡しました。 国政選挙を無効とする判決が言い渡されるのは、戦後初めてです。 選挙管理委員会側が上告すれば裁判が続くため、今回の判決によって直ちに選挙が無効になるわけではありませんが、判決が確定すれば、無
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