【週刊エコノミスト 7月10日号】 ◇古賀攻(毎日新聞政治部長) 青票(反対票)を投じ終えた小沢一郎・民主党元代表が、すぐ後ろで白票(賛成票)を入れた渡部恒三・民主党最高顧問と笑顔で言葉を交わしていた。「宮沢(喜一)さんの時を思い出すなあ」という会話が聞こえてきそうな光景だった。 1993年6月、2人は野党提出の宮沢内閣不信任決議案に白票を投じ、自民党を飛び出した。直後の衆院選を経て細川連立政権を樹立。自民党1党支配の歴史に終止符を打ったこの事件は、2人にとって最も思い出深く、かつ輝かしい戦績だろう。 ただ、今回は違う。あらゆる意味において、元代表が得意としてきた権謀術数まみれの古い政治は通用しなくなっている。 ◇政党政治の底抜け 6月26日、民主党は「運命の日」を迎えた。昨年暮れに税・社会保障一体改革の大綱を決定して以来、もつれにもつれてきた関連法案が、民主、自民、公明3党の修正合意を加
素粒子ニュートリノの速さが光を超えたとする実験結果について、この結果を公表した名古屋大などの国際共同実験「OPERA」チームが8日、京都市で開催中の「ニュートリノ・宇宙物理国際会議」で「誤りだった」との検証結果を報告した。昨年秋の公表以来、アインシュタインの相対性理論を覆すとして話題を呼んだが、約8カ月で撤回された。 OPERAチームによると、速度の計測に使った全地球測位システム(GPS)とコンピューターをつなぐ光ファイバーケーブルの接続が緩んでいるのが公表後に判明。この影響でニュートリノが実際より速く測定されたとみて5月に2週間の検証実験を実施した。その結果、ニュートリノが光速を超える結果は得られなかったという。同日記者会見した小松雅宏・名古屋大准教授は「(超光速の結果は)ケーブルの緩みが原因」との見解を示した。 この日、欧米など他の3チームも検証結果を報告。いずれもニュートリノと光の速
航空会社のスカイマーク(東京都大田区)が乗客に対し、苦情は機内ではなく消費生活センターなどに伝えるよう明記した文書を示しており、東京都消費生活総合センターは4日、同社へ抗議することを決めた。 スカイマークによると、この文書はA4判の「サービスコンセプト」。5月18日から機内全席の前ポケットに入れており、内容は▽客室乗務員は荷物の収納の援助をしない▽客室乗務員に丁寧な言葉遣いを義務づけていない▽客室乗務員は保安要員としての搭乗で接客は補助的なもの−−など8項目。数年前からの方針だが、乗客から客室乗務員の接客について問い合わせが相次いだため作成したという。 文書はさらに「機内での苦情は一切受け付けません。ご理解いただけないお客様には定時運航順守のため退出いただきます。ご不満のあるお客様は『スカイマークお客様相談センター』あるいは『消費生活センター』等に連絡されますようお願いいたします」と明記。
自民党は27日、新たな憲法改正草案を発表した。9条に首相を最高指揮官とする「国防軍」を持つと明記し、天皇を「日本国の元首」と規定、国旗・国歌への尊重義務を設けるなど、05年にまとめた新憲法草案より強い保守色を鮮明にした。日本が独立を果たしたサンフランシスコ講和条約の発効から60年となる28日に合わせて決定した。 谷垣禎一総裁は草案発表の記者会見で、「自民党が先頭に立ち、自主憲法の制定に向けた取り組みを加速させ、日本の進むべき進路と骨格を明確にしたい」と強調した。新草案は05年草案をベースにした改定版。 草案では、前文で日本について「長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を頂く国家」と規定。「日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、和を尊び、家族や社会全体が助け合って国家を形成する」などとした。 天皇については、1条に日本国の「元首」とも明記した。国旗・国歌については
◇求められる常識の再構築 最近、海外で広く認知されるようになってきた日本発の歌姫をご存じだろうか。米国ではトヨタのCMに起用されて注目を集め、昨年7月にはロサンゼルス最大のライブ会場「ノキアシアター」でライブを行った。前売り券は2週間で完売。当日は6000人の観客を熱狂させ大成功。ロサンゼルス・タイムズにも取り上げられ、NHKニュースでも紹介されたのでご覧になった方もいるだろう。くるぶしまで伸びた青緑の髪と、同じ色の大きな目が印象的な少女。もちろん実在の人間ではない。 彼女の名前は「初音(はつね)ミク」。ヤマハの開発した音声合成システムに、北海道のクリプトン・フューチャー・メディア社がキャラクター付けして販売した音声合成・デスクトップミュージックソフトウエアの製品名だ。パソコンでメロディーと歌詞を入力することで合成音声で歌わせることができる。初音ミクに自作の歌を歌わせて、ニコニコ動画やYo
すでに各メディアで流されたから御存知の方も多いだろうが、一月十七日、私の小説が芥川賞に決まった日の夜、東京でバカな記者会見をした。女優の言葉を引用し、自分がもらって当然と言い、さらに石原慎太郎都知事に言及した。その後のさまざまな報道のされ方の中には、事実と違う部分がかなりある。終わったこととはいうものの、私の知っている範囲の事情を、どうしても書いておきたい。 まず、十七日の会見の段階で私は、石原氏が六日に行った、今度の芥川賞候補作はバカみたい、という発言を全く知らなかった。正確な内容を知ったのは十八日になってからだ。次に、会見内での、もらって当然、都知事と都民のためにもらっといてやる、という言い方は、はっきり言うと最終候補になるずっと前から、もしその時が来たら言ってやろうと準備していたものだった。だから、六日の都知事の発言に田中がかみついた、というのはメディアが勝手に作った図式だ。 もう一
◇自由な個人の連帯こそ 3月の震災以降、しきりに連呼されるようになった言葉に「絆」がある。「3・11」「帰宅難民」「風評被害」「こだまでしょうか」といった震災関連の言葉とともに、今年の流行語大賞にも入賞を果たした。 確かに私たちは被災経験を通じて、絆の大切さを改めて思い知らされたはずだった。昨年は流行語大賞に「無縁社会」がノミネートされたことを考え合わせるなら、震災が人々のつながりを取り戻すきっかけになった、と希望的に考えてみたくもなる。 しかし、疑問もないわけではない。広辞苑によれば「絆」には「(1)馬・犬・鷹(たか)など、動物をつなぎとめる綱(2)断つにしのびない恩愛。離れがたい情実。ほだし。係累。繋縛(けいばく)」という二つの意味がある。 語源として(1)があり、そこから(2)の意味が派生したというのが通説のようだ。だから「絆」のもう一つの読みである「ほだし」になると、はっきり「人の
約半年ぶりに再会した東日本大震災の被災地で保護されたペットと飼い主=大阪府能勢町で2011年10月7日午前10時5分、小松雄介撮影 東日本大震災の被災者からペットを預かっている大阪府能勢町のNPO法人「日本アニマルトラスト」が7日、福島県などの被災者14組39人を同町に招待した。被災者はペットが暮らす施設で、半年ぶりに愛犬や愛猫と再会した。 アニマルトラストは最も多い時で約200匹を保護した。多くは被災者が避難所や仮設住宅に連れて行けない犬や猫。臨時増設した飼育舎で育て、被災者が自宅に戻れるようになり引き渡したペットもいるが、今も約150匹を預かっているという。 原発事故で、愛犬りょうの首輪を外して自宅から避難した福島県南相馬市の会社員、杉道晴さん(62)は6月に一時帰宅した時も見つからなかったが、その後、アニマルトラストが保護しているのを、仮設住宅の張り紙で知った。杉さんは「諦めていたの
◇科学的教養、必要な時代 限られた資源をどう配分するか--すべての人の要求を満たせない以上、あれもこれもは不可能。だから厳しくても優先順位を決め、より多くの同意を得ながら事を進めていくというのが本来の「政治」の役割だ。しかし、同時に民主主義国家においては、権利と義務はセット。今回の電力問題のように技術や科学がからむ資源配分の問題では、有権者の側にもその問題を理解する努力が求められる。 まず理解しないといけないのは、電力網というシステムが、不断の努力でバランスを取っている「動的平衡系」だということだ。電力の需要と供給は常にある幅の中でバランスをとっていなければならない。多すぎても少なすぎても破綻する。本格的な理解をするには電気工学の高度な知識が必要となるが、近いアナロジーとしては「手すりのないシーソー」がいいだろう。 シーソーの一方が需要側。何千万もの利用者がスイッチをオン・オフするたび、バ
今年4月に施行された改正児童福祉法は、児童虐待の防止や子育て世帯の支援強化などを主たる目的としている。 特に「社会的養護」は、私たち社会全体のものとして受けとめる必要がある。 社会的養護とは、「保護者のない児童や、保護者に監護させることが適当でない児童を、公的責任で社会的に養育し、保護するとともに
日本民間放送連盟(民放連)の広瀬道貞会長は17日の定例会見で、7月24日に予定されている地上デジタル放送完全移行について「7月24日に(アナログ波を)停波できるような環境作りに対し、歩みを止める必要はない」として、従来の姿勢に変更がない考えを改めて表明した。また東日本大震災の被災地へ1億円の義援金を送ることも発表した。 広瀬会長は「人とお金をかけ、(地デジへの)切り替えができる環境を作ることが大切」と発言。支援としてデジタル対応テレビを支給するよう政府に求めていくことを明らかにした。そのうえで、地デジ化については「全国一斉が原則。私自身は(震災でも)引き延ばす理由はないと思っている」と強調した。 【高橋咲子】
環境省は27日、09年度の温室効果ガス国内排出量の速報値を発表した。金融危機(08年秋)後の景気後退で企業の生産活動が落ち込んだ影響で、前年度比5.7%減の12億900万トン(二酸化炭素=CO2=換算)と、京都議定書で約束した「マイナス6%」を達成できる水準に収まった。しかし民間シンクタンクは、10年度は景気回復や夏の猛暑などで、排出量が増えると予測している。 09年度は京都議定書の目標期間(08~12年度)の2年目に当たる。日本は同期間の温室効果ガス(CO2を含む6種類)排出量を、90年度より毎年平均で6%減らす義務がある。ただし、森林によるCO2吸収分や海外から購入した排出権(枠)を削減と見なせるため、実際の排出量は同0.6%減(12億5400万トン)でも目標が達成できる。09年度の速報値はこれをクリアした。 排出量のうち、産業や家庭での燃料・電力使用による「エネルギー起源」は前年度比
自民、公明両党と民主党がそれぞれ国会に提出している児童買春・児童ポルノ禁止法改正案の審議入りが19日午前の与野党協議で決まった。 18歳未満の性的な画像を所持することへの処罰強化が焦点だが、規制範囲が広い与党案と、限定的な民主党案との隔たりは大きい。26日に衆院法務委員会で趣旨説明を行い、実質審議に入る。 現行法では児童ポルノの所持は販売、提供目的であれば処罰されるが、個人で見るためだけに所有する「単純所持」は禁じられていない。インターネット経由で画像が世界的に拡散する中、日本で単純所持が規制されていないことが国際的にも批判されてきた。一方で、すべての所持を禁じると、故意に画像を送りつけられることによる冤罪(えんざい)を生む恐れがあるとの懸念もあった。 このため、昨年6月に提出された与党案は「性的好奇心を満たす目的」で所持した者に1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科すと規定。
日本経団連の御手洗冨士夫会長(キヤノン会長)は8日の定例会見で、国内の大手メーカーで非正規従業員の削減が相次いでいることについて「景気の急激な落ち込みで各社は減産に追い込まれ、苦渋の選択で雇用調整を行っている。やむを得ない事情がある」と述べ、理解を求めた。そのうえで「景気を回復させることが大事だ」と語り、雇用環境の改善には政府による早期の景気対策が不可欠だと強調した。 御手洗氏が会長を務めるキヤノンも、デジタルカメラなどの減産に踏み切り、大分県の子会社で働く請負会社の従業員約1200人が削減される見通しが明らかになっている。 これについて御手洗氏は「(報道された内容には)かなり誤解がある」と述べた。ただ、自身で説明することは避け、会見後にキヤノン広報部を通じて「請負会社には生産台数ベースで発注しており、人員は把握、指示していない。労働者派遣法では請負先に雇用面で指示することは禁止されており
「機動戦士ガンダム」のファンとして知られるプロ野球・中日の落合博満監督が28日、最新作「機動戦士ガンダム00(ダブルオー)」のプレミア試写会にビデオメッセージを寄せ、優勝を決めるまで「見ちゃいけない」というガンダムを見てしまったことを告白した。シーズン終盤、広島との壮絶なクライマックスシリーズ出場争いを繰り広げる“苦戦”の一因はガンダムだった? ビデオで落合監督は「本当は見ちゃいけないんです。シーズン中はリーグ優勝が決まるまでは見ないように決めていたんですが……」と語りながら、10月5日放送の最新作「00」第1話を見たといい、「今回は特別に先駆けて見せてもらいました。素晴らしい出来でした。今回のダブルオーは前作の謎が解き明かされるということで、ファンの人はじっくりとご堪能ください」と語った。ナゴヤドームの監督室で作中に登場する「ガンダムエクシア」のプラモデルを組み立てる姿も見せた。 「機動
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