生みの親が育てられない子どもの大半が施設で暮らす日本の現状は、数万人の子どもたちから家庭で育つ機会を奪い、人権侵害ともいえる――。国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は1日、日本の社会的養護の問題を指摘する調査報告書をまとめた。2009年に東京事務所を開設して以来、日本についての初の本格的な調査で、今後、政策の見直しを訴えていくという。 社会的養護は、親を亡くしたり、親が育てる意思や能力を持たなかったりする子どもを育てる公的制度。国内では、対象となる20歳未満の子どもが4万人余りいて、そのうち、原則18歳まで家庭で養育する「里親」などと暮らす子は全体の約15%にとどまる。残る約85%は乳児院や児童養護施設、自立援助ホームなどで暮らしており、報告書は「不必要な施設入所で家庭的環境を奪うことは人権侵害である」と非難した。 原因としては、子どもの預け先を決める児童相談所の要員不足