本書では自らの体を実験台にした奇人変人と呼ぶにふさわしい研究者が数多く登場する。血液、薬など医学を中心に17のテーマが収められているが、どこを読んでも驚きのエピソードにあふれている。 寄生虫を飲み込んだり、進んで感染症に罹ったりと、内容は多岐にわたるが、想像するだけで気持ちが悪くなりそうな実験例も少なくない。黄熱病研究ではアメリカ人の医学生スタビンス・ファースは感染経路を調べるために体に患者の尿を塗り、嘔吐物を摂取した。イギリスの外科医ジョン・ハンターは淋病と梅毒の関係性を知るため、淋病患者の膿を自分の性器に塗りこんだ。常軌を逸した行動に映るが、「自説は果たして正しいのか」ということに自らの体を賭けてでもこだわる研究者の強烈な自負も見え隠れする。 著者は彼らの功績はあまりにも評価されていないと指摘する。実際、嘔吐物にまみれたスタビンス・ファースの名前を誰も覚えていないのは事実だ。歴史に埋も
2010年10月20日13:00 カテゴリ書評/画評/品評Medicine やっぱり健康が一番 - 書評 - 無菌室ふたりぽっち 著者より献本御礼。 無菌室ふたりぽっち 今田俊 正直、闘病記の類いに感動するには、私はあまりに多くの本を読んで来た。 そして患者たちに同情するには、あまりに統計を知りすぎている。 人は一人の例外なく、必ず死ぬという意味で生まれた時から不治の病の患者だとすら達観している。 しかし、本書を読了してからは、はっきりこう感じる。「白血病だけはご勘弁」。 本書の価値が、そこにある。 「やっぱり健康が一番」と思わせる闘病記と出会うのは、白血病に罹るより稀かも知れないのだから。 本書「無菌室ふたりぽっち」は、白血病の闘病記。著者は急性骨髄性白血病にかかり、一度は寛解したものの再発し、弟の骨髄移植を経て今に至っている。まだ「これで大丈夫」だと医学的に言うには、もう三年この状態が
→紀伊國屋書店で購入 「寄生虫学者は「変人」か」 藤田紘一郎(感染免疫学者) 『自分の体で実験したい』は、危険も顧みず、科学のために自分の体で実験した科学者や医学者たちのノンフィクションである。本書の「おわりに」と巻末の年表では、私自身のサナダ虫の実験についても言及している。 私は一九九六年以来、サナダ虫を二〇年以上お腹に飼っている。初代の「サトミ」ちゃん、二代目「ヒロミ」ちゃんと飼い続けて、最後の「マサミ」ちゃんまで、計五代のサナダ虫を飼い続けた。五代目の「マサミ」ちゃんは残念ながら、昨年の冬死んでしまって、今、私のお腹のなかにはサナダ虫が棲んでいない。そして、私が飼い続けたサナダ虫、正式の名前は「日本海裂頭条虫」というが、このサナダ虫は日本ではほとんど見られなくなっている。 サナダ虫の寿命は約三年である。日本語で「虫がわく」という言葉があるが、普通では寄生虫が人体内で増えることはない。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く