→紀伊國屋書店で購入 私は精神科医だが、発達障害に関する知識は、ほぼ文献的なものに限られている。そういう「門外漢」として言うのだが、この領域の当事者本はきわめて「面白い」ものが多い。それらはしばしば、専門家による臨床的記述をはるかに凌駕する。 綾屋氏と熊谷氏の共著である本書もまた、まず「面白い本」という角度から読むことをお勧めしたい。面白さという点から言えば、このジャンルでは永らく古典とされていたドナ・ウィリアムズ『自閉症だった私へ』(新潮社)に匹敵する、と言っても過言ではない。 それでは、なにがそんなに「面白い」のか。 本書を読みはじめて、まず意表を突かれるのは、綾屋さんの抱える困難が、心理ではなく身体的なものとして描かれている点だ。私はここで、ドナ・ウィリアムズの「自分が自分であることに対して、体ほど大きな保証はない」という言葉を連想した。しかし綾屋さんの記述は、ドナよりもはるかに詳細
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