2017年版の科学技術白書を読んでみると、ノーベル賞受賞で大隅さんが発した日本の科学研究への警鐘を政府は予想通り無視したと断ぜざるを得ません。その後の内外からの政策批判にも聞く耳を持たずメディアも同調です。科学技術白書は 《特集 2016年ノーベル賞受賞、及び学術研究・基礎研究の振興に向けた我が国の取組》 との大特集までして「素朴な疑問に根付いた知的好奇心」から発した大隅さんの仕事を研究関連データを跡付けて称賛、さらに「日本の基礎科学力の揺らぎを生じさせている危機的な課題」にまで踏み込みます。しかし、具体策として挙げられている政策は従来のままであり、それが科学技術白書自身が「トップ10%論文の順位で比較すると、この10年の間に、日本は4位から10位に低下している」と分析している危機の原因になっている問題に触れようとしません。 大隅さんの警鐘は昨年10月に 第542回「ノーベル賞・大隅さんの