日本に戻ってきて初めて映画を見た。 第88回アカデミー賞で作品賞、脚本賞を受けた『スポットライト 世紀のスクープ』。ボストン・グローブ紙の若い敏腕記者、マイク・レゼンデスを演じた俳優マーク・ラファロの目がいい。取材対象に向き合い、必死で真実をつかもうとする彼のまっすぐな目線。正義感と功名心を車の両輪にしてひた走る彼の正直なまなざし。それを見ているだけで心が熱くなった。 1人だけではない。「スポットライト」という目玉の調査報道欄を担当する4人の取材チームがこころざし、価値観を共有して力を合わせる。正面取材、ディープスロートを通じたやり取り、資料の分析、それぞれの役割をきちんと果たして手作りの完成品ができあがる。現実には得難いことである。報道にかかわるすべての人に推薦したい映画だ。 多数のカトリック教会神父による児童への性的虐待事件を、教会がその社会的権威や権力を使って組織ぐるみ隠蔽している実