抗菌薬は、われわれにとってそこまで大きな毒性はありませんが、細菌にとっては猛毒です。そのため、細菌はあの手この手でその毒から逃げ延びようとします。 自分の立場にたって考えてみましょう。これからわれわれの体に毒がかかる、としたら、われわれはどのようにしてその毒から助かろうとするでしょうか。例えば、分厚い服でガードして毒が入ってこないようするかもしれません。または、入ってきた毒を外に吸い出したり、解毒剤を使って毒物を分解したりするかもしれません。 細菌も同じような方法で、入ってきた毒、すなわち抗菌薬を無効にしようと試みます。以下に、細菌の薬剤耐性メカニズムの例を挙げてみます。 細菌自体を覆っている膜を変化させて、薬が入って来づらくする(外膜変化) 細菌に入ってきた毒を外に汲み出してしまう(排出ポンプ) 細菌の中で抗菌薬が作用する部分を変化させ、いざ抗菌薬が入ってきても効果が出ないようにしてしま