政府は2019年10月から、幼児教育・保育の認可保育所の無償化を全面的に実施する。認可保育所に子どもを預ける場合、0~2歳児については住民税非課税の低所得世帯、3~5歳児については全世帯がそれぞれ無償化の対象となる。本稿では、この改革を政策目的の観点から評価する。 ◆◆◆ 保育政策の重要な目的は、子どもを欲しい親が子どもを持てるようにすることだ。それができていない主因は以下の2つである。 第1に低所得者の多くが子どもを健全に養っていくには貧困すぎる。結婚をためらう若者は多い。 第2に都会の中所得者の場合は、子どもが待機児童になる可能性が子どもを産みにくくしている。待機児童になると、無認可保育所に入れるか、労働参画を諦めねばならない。入所の可否が極端に大きな差をもたらす仕組みは、若い夫婦が将来保育コストを予測することを不可能にしている。 これらの問題は無償化では解消しない。 まず生活保護世帯