ブックマーク / www.ninchi-shou.com (109)

  • 3年間の結晶。 - 鹿児島認知症ブログ

    苦虫を噛みつぶしたような表情で人を罵る、強面の女性患者Aさんとの思い出を語ろう。 Aさんが僕に口撃を向けることはさほどなかったが、通院に同伴してくれる娘さんに向ける悪口といったら、 「私はどこも悪くない。何の役にも立たない娘に病院に連れて来られて困っている」 といった酷いものだった。 にも関わらず、真面目に母親の通院に付き添い続けた娘さんとAさんの間には、僕には計り知れない彼女らなりの親子の情愛というものがあったのだろう。 高血圧症、2型糖尿病、脂質異常症、多発脳梗塞、そして慢性腎臓病。 初めて会った時点で既に満身創痍だったAさんの主訴は「物忘れ」だったのだが、僕としては物忘れよりも、いかに全身状態を安定させ維持させるかが大事だった。死んでしまっては、物忘れも何もあったものではない。 家庭の事情で内服のチャンスは1日1回しかなく、その中で懸命に処方を工夫した。 デイサービスやケアマネから届

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  • もって他山の石とすべし。 - 鹿児島認知症ブログ

    60代の女性、Aさんの話。 Aさんは5年ほど前から抑うつ傾向が、3年前から歩行困難が出現した。 手の震えを自覚するようになった2年前に、B病院の脳神経内科を受診するも特に診断は告げられなかった。 その後も歩行困難や腰痛・背中の曲がりが改善することなく進行していったため、昨年C病院の脳神経内科を受診した。 DAT-scanという検査が行われた結果、D医師が下した診断は 「パーキンソン症候群」 だった。 診断がパーキンソン症候群のまま、パーキンソン病の薬が増えていく パーキンソン症候群とは、 脳血管障害や大脳皮質基底核変性症などパーキンソン以外の病気 抗精神病薬などの薬物の影響 加齢の影響 などによって、表情の乏しさや手の震え、小刻み歩行などのパーキンソン的症状を認める状態のことを指す。簡単に言うと、「パーキンソンっぽい症状があるけれども、パーキンソン病ではない状態」のことである。 ちなみにパ

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  • 【症例報告】50代女性。3ヶ月の糖質制限で5kg減量し、各種採血パラメータも改善。 - 鹿児島認知症ブログ

    今回紹介する50代の女性は、健康診断で常に高血圧や脂質異常、糖尿病、肝機能異常などを指摘されていた方である。 出産後に体重が20kg以上増えたとのことだが、初診時の体重は76.6kgだった。 ダイエットのために運動に取り組もうとしても、この体重では膝や腰を痛める可能性があるため、先に事の工夫が重要である。 これまで何度となく「短期間の事制限→リバウンド」を繰り返していたようなので、糖質制限をするにしてもプチ制限かスタンダード制限からが無難かなと思ったのだが、人が選んだのは、三全て主を省く「スーパー糖質制限」であった。そして、今のところは問題なく上手くいっている。*1 女性が糖質制限を成功させるためには、開始前にフェリチンと尿素窒素(BUN)を調べておくのがお勧め。以下はご参考までに。 www.ninchi-shou.com 50代女性 2型糖尿病 初診時 出産後から太り痩せなくな

    【症例報告】50代女性。3ヶ月の糖質制限で5kg減量し、各種採血パラメータも改善。 - 鹿児島認知症ブログ
  • 「アルツハイマー型認知症の治療薬、アデュカヌマブの治験中止」というニュースに感じた既視感。 - 鹿児島認知症ブログ

    アリセプト発売が1997年、リバスタッチパッチ、レミニール、メマリーが日で発売されたのが2011年。 未だに、新たなアルツハイマー型認知症の治療薬は世に出てこない。そして先日、期待されていたアデュカヌマブの治験中止が発表された。 www.fnn.jp なぜアデュカヌマブが失敗したかについて、エーザイの担当者は アルツハイマー型認知症の原因たんぱく質を除去することを目的とした、次世代治療薬候補の治験を成功させるためには、「正しい創薬標的(対象とする原因物質)」、「正しい患者様層」、「正しい用法用量」、「正しい臨床評価指標」を設定することが重要と言われており、失敗した治験にはいずれかの要素に課題があったと考えています。(上記リンク先より引用。) とコメントしている。 「正しい患者選択」は当然のようでいて、実は難しい。 アルツハイマー型認知症治療薬の治験に、レビー小体型認知症や前頭側頭型認知症

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  • ある認知症専門医に対する雑感。 - 鹿児島認知症ブログ

    「〇〇さんはレビー小体型認知症なので、唯一の保険適応薬であるアリセプトで治療をするのが決まりです。他の薬は出せません。」 ベテラン専門医のA医師が、アリセプトで副作用が出ていると感じて他剤への変更を希望した家族に言った言葉である。 この言葉を受けて、患者さんのご家族は当院への引っ越しを決意された。 専門医の定義とは? 認知症専門医とは通常、老年精神医学会や日認知症学会が定めた規準を満たした医師のことを指す。 老年精神医学会の専門医一覧はこちらから、日認知症学会の専門医一覧はこちらからどうぞ。 ちなみに自分は脳神経外科専門医だが、認知症に関しては「非」専門医である。*1 ここで、専門医の定義を確認しておきたい。 自分が有する脳神経外科専門医の資格は、 「脳神経外科専門医」は、昭和41年に定められた専門医認定制度に基づいた研修の後に厳正な試験に合格し、更に所定の生涯教育を継続していることを

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  • 「認知症による介護拒否、食事拒否」で紹介となった92才女性。 - 鹿児島認知症ブログ

    独居していたMHさんが施設入所となったのは、4ヶ月前のこと。 既往歴に心筋梗塞と心不全があり、13種類の薬を使用中であった。 ビソプロロール(0.625)1T1XM ミカルディス(20)1T1XM ラシックス(20)1T1XM サムスカ(7.5)1T1XM アルダクトンA(25)0.5T1XM エリキュース(2.5)2T2XMA エチゾラム(0.5)2T2XMA トラムセット3T3X メマリーOD(5)1T1XA ベシケアOD(5)1T1XA イクセロンパッチ(13.5) 1枚 ゾルピデム(10)1T1X眠前 ベルソムラ(15)1T1X眠前 嘱託医からの紹介状には、「アルツハイマー型認知症です。エンシュアは気が向いたら飲んでくれますが、それ以外は拒否的で難渋しています。採血も点滴も拒否するのでお手上げ状態です。」と書かれていた。(一部意訳) 同伴した施設スタッフに話を聞くと、 「確かに

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  • 「医師の働き方改革」に対する雑感。 - 鹿児島認知症ブログ

    長時間労働の定義は、wikipediaによると 就業時間が週40時間・・労働基準法第32条に定める1週間の上限労働時間であり、1日8時間で月間では160時間になる。これ以上働くと時間外労働となり、賃金の割増率が上がり、時間外労働の基準点となる。 週間就業時間が60時間以上・・総務省「労働力調査」では「雇用者のうち週間就業時間が60時間以上の従業者の割合の推移」の項目があり、長時間労働を表す指標の一つとなっている。 月45時間以上の時間外労働・・「労働基準法36条1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」(平成21年5月29日厚生労働省告示316号)によれば、原則として三六協定による労働時間の延長の上限が月45時間となっている(月間160時間に足すと、トータルで月間205時間労働になる)。 月60時間以上の時間外労働・・割増賃金の割増率が引き上げられる。また労使協定に定めることに

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  • 「認知症には抗認知症薬を」というドグマ。 - 鹿児島認知症ブログ

    今回は、90歳女性を例にあげながら、「とりあえず抗認知症薬処方」が無くならない理由を考えてみる。 90歳女性 レビー小体型認知症?意味性認知症? 初診時のNYさんのHDS-Rは6/30と、既に認知機能はかなり低下していたのだが、改訂クリクトン尺度は16/56と低く、同居の息子さんの負担感はさほど高くはなかった。 もしアルツハイマーが主因でHDS-Rがここまで低下していたら、ADLは相当低下しているのが普通である。しかし、事や風呂、トイレなどは自立し余り手はかからず、ただ「女の人が見えて怖い」という幻視が問題になっていた。 前医の診断はレビー小体型認知症。 幻視や夜間の叫び声(≒レム睡眠行動異常)は確かにあったが、パーキンソン症状はなく認知の変動もなかった。経験上、超高齢者のこういったエピソードに遭遇した場合に「ハイハイ、レビーですね」と決め打ちはしないようにしている。*1 自分としては、

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  • 【8年目】糖質制限の経過報告。 - 鹿児島認知症ブログ

    2011年の9月から糖質制限を始めて、今年の9月で8年目に突入する。 これまで丸7年間のうち、9割方はスーパー糖質制限で過ごしてきた。途中で何かよっぽどのことがない限りは、今後も糖質制限を続けていく予定である。 今回は途中経過報告ということで、現在の事と先日行った採血結果について紹介がてら書いてみる。 2018年9月19日現在、 身長:183cm 体重:63kg 体脂肪率:8.9% 骨格筋率:32% このような身長体重である。 糖質制限開始前の体重は73kg。スーパー糖質制限1年間で13kg減量した。身長から考えると60~63kgはかなり痩せている訳だが、自分は膝や腰に不安を抱えているので、今の体重ぐらいでキープするのが望ましいと考えている。 体脂肪率や骨格筋率は、この数年ほぼ変化はない。 現在の事と摂取サプリメントについて 朝にプロテインを摂取することはあるが、朝は基的にべない

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  • 【症例報告】鉄タンパク欠乏の20代女性、めまいで受診。 - 鹿児島認知症ブログ

    今回紹介するのは海外の方。 20代の女性ZCさんは、2年前に海外から日に学びに来た留学生である。ある朝、起床時にめまいを感じたとのことで、友人に伴われて当院を受診された。 鉄タンパク欠乏は、洋の東西を問わず、ある程度の先進国に共通する病態なのかもしれない。ただし、留学生ならではの事情として、ひょっとしたら書籍代や学費などを捻出するために費を切り詰めてしまった結果、鉄タンパク欠乏をきたすということはあるかもしれない。お財布事情に首を突っ込むことはしたくないので、深くは訊かなかったが。 BUNが1桁で、かつトランスアミナーゼも軒並み低値の場合、フェリチンが低値であっても鉄剤処方は急がないようにしている。何故なら、そのようなケースでは鉄剤内服を先行させると胃もたれ便秘をきたすことが多いからである。 高たんぱくのみでヘモグロビンが回復しフェリチンもじわっと上昇するケースはあるので、鉄剤はケー

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  • 【症例報告】認知症の進行よりも妄想対策を優先させ、結果落ち着いている事例。 - 鹿児島認知症ブログ

    今回紹介するのは80代後半の女性SMさん。 もの忘れよりも妄想が生活上の大きな問題となっていた方で、治療に用いる薬剤は「認知症の進行を抑える薬」ではなく、「妄想を抑える薬」を選んだ。そして、妄想が一段落して家族に余裕が生まれてきたら、今度は栄養療法を少し加え、プレタールで認知機能を補強。処方は全て、一日一回朝後とした。 使用する必要性を感じなかったので、3年間一度も抗認知症薬を使うことはなかった。 「"取り敢えず"、進行を抑えるために抗認知症薬は入れておかないと」と考える人にとっては、抗認知症薬を入れることで妄想が悪化する可能性は二の次かもしれない。 これは優先順位のつけ方の違いでもあろうが、自分は「今、目の前で起きて困っていること」への対策を、「認知症の進行を遅らせる(かもしれない)こと」よりも優先させる。抗認知症薬使用を優先させて妄想が悪化した際の後始末の大変さを経験すれば、自然とそ

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  • ニーズとウォンツを分けて考える。 - 鹿児島認知症ブログ

    今回紹介するKTさんは、夜間のコールが頻回で易怒性も高く、施設側が困り果てていた男性である。 体力はかなり低下していたものの、歩行器を使い自力歩行は出来ていた方であったが、施設転居や肺炎による入院などイベントが重なった影響で、2ヶ月で歩けなくなってしまった。 80代男性 病型不明 初診時 (既往歴) 20代で肋膜炎 不安神経症 (現病歴) 2ヶ月前までは歩行器を使い、トイレも自立だった。 先月、現在の施設に転居し、欲低下と活気低下をきたした。 その後肺炎を起こし、〇〇病院に2週間入院。帰ってきたら車いすになってしまっていた。更に、夜間不穏も目立つようになった。 困った家族と施設の希望で、ケアマネさん紹介で当院を受診となった。 (診察所見) HDS-R:15.5 遅延再生:1 立方体模写:拒否 時計描画テスト:拒否 IADL:1 改訂クリクトン尺度:30 Zarit:11 GDS:5 保続

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  • 長かった髪を70cmカットしたら、頭痛が解消した女性。 - 鹿児島認知症ブログ

    嘘のような当の話。 50代女性 頭痛 年来の頭痛の相談で、2年ほど前に来院されたAさん。 片頭痛に特化した鎮痛薬のアマージを月に20錠ほど飲むことがあるらしく、薬物乱用型頭痛に嵌まっている可能性が濃厚に疑われた。 20代からの嘔気を伴う拍動性の頭痛は、片頭痛で間違いないと考えた。ただし、後頚部の過緊張及び、こめかみを締め付けられるような頭痛もあるとのことから、片頭痛だけではなく緊張型頭痛も合併していると思われた。 緊張型頭痛に対してはテルネリンで対応するように説明したところ、アマージを使う頻度は月に3~5回と激減した。しかし、 「夜中や明け方に強い頭痛で目覚めることがある」 という訴えは、長く遷延していた。 ある日、久しぶりにAさんが来院した。長かった髪をバッサリと切っていたので、「大分イメージが変わりましたね」と話しかけたら、Aさんから帰ってきた答えがこうだった。 「先生、夜中や明け方

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  • イクセロンパッチとリバスタッチパッチ、皮膚症状を軽減した基材を開発。 - 鹿児島認知症ブログ

    日刊薬業から。 nk.jiho.jp 痒み・かぶれの軽減に期待。 小野薬品工業とノバルティス ファーマは19日、アルツハイマー型認知症(AD)治療薬リバスチグミン(販売名=小野薬品「リバスタッチパッチ」、ノバルティス「イクセロンパッチ」)について、新基剤に関する製造販売承認事項の一部変更承認を申請したと発表した。 現行のリバスチグミンはシリコン系基剤を採用しているが、貼付部位の紅斑やそう痒症など皮膚症状の副作用報告を受けていたことから、合成ゴム基剤を採用した新基剤製剤の開発を進めてきた。開発品と現行製剤の生物学的同等性が検証されたことから一変申請を行った。(上記リンクより引用) 噂では聞いていたが、イクセロンパッチとリバスタッチパッチが新しい基材を開発したようだ。 基材とは、それ自体は薬の効能を持たず、薬剤の吸収効率を高めたり、病変部を保護する目的で使用される賦形剤のことである。 例えば、

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  • 【症例報告】うつ病とか適応障害とか診断名を付ける前に、やっておくべきこと。 - 鹿児島認知症ブログ

    今回紹介するのは、寮生活を送りながら部活を頑張ってきた女子高生。ある時期から練習についていけなくなり、頭痛や不眠、低血圧で悩まされるようになった。 心療内科を受診し、下された診断は「適応障害」。次に訪れた心療内科では「うつ病」と診断され、抗うつ薬と眠剤が処方された。 その診断と投薬で彼女が改善したのかどうか、今回の記事を途中まで読んで頂けたら分かる。既にもう、お分かりの方もいるだろうが。 思春期に部活をハードに頑張る女の子に起きうることを、2名の医者が気づかず、そして毎日会っている部活の指導者も気づかなかった。 流石に母親は「顔が白くて唇の色も悪いけど、ひょっとして・・・」と、娘に起きている異変を感じて当院に連れてきたのだが、あのまま抗うつ薬と眠剤を飲み続けていたら彼女はどうなっていたか。 あってほしくない想像が、頭をよぎった。 17歳女性 頭痛の訴え 初診時 ・BP: 101/42 ・H

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  • 【症例報告】Mガードについて。 - 鹿児島認知症ブログ

    認知症サプリメントのフェルガードを販売しているグロービアが昨年、Mガードという新たなサプリメントの販売を開始した。 最初にMガードの自験例を、その次に、Mガードを使用しているご家族の観察記録を紹介する。 80代女性 軽度認知障害(MCI) 初診時 同居の娘さんと二人で来院。 (既往歴) 近医で降圧薬など内服中 脊柱管狭窄症 (現病歴) 3年前に〇〇病院受診。この時にHDS-Rの結果は不明。「初期アルツハイマーが疑われるが、それよりもうつ病の可能性を多く見積もる」ということで、投薬なしでフォローとなった。 半年前にアリセプト3mg開始。激しい消化器症状にて3日で脱落。 日午前中に〇〇病院受診。HDSーR20という結果でイクセロンパッチ9mgを勧められた。 「いきなり9mgでこのまま使い始めていいのだろうか?」と疑問に思った娘さんが、飛び込みで連れて来られた。 (診察所見) HDS-R:施行

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  • 自分語りをしながら、便秘について語る。 - 鹿児島認知症ブログ

    今回は、ほぼほぼ自分語り。 小学校〜高校までの便秘ライフ 小学校~中学校ぐらいまでは、毎朝のように腹痛でトイレに籠もる日々だった。便秘と下痢を繰り返す、いわゆる過敏性腸症候群(IBS)だったと思うのだが、この頃は市販のビオフェルミンを毎日のように飲んでいた。 「朝ご飯をべないと頭が悪くなる」という母の信念の元、朝は必ずべさせられていた。そして毎朝、腹痛を起こしていた。 子供ながらに流石に考えたのは、 「朝べるからお腹が痛くなるのでは?」 だった。 そこで意を決し、高校に入ってからは朝を摂らずに登校するようにしてみた。そしたら案の定、朝の腹痛は激減した。 何たる開放感。 親の軛から解放されたと初めて感じた瞬間でもあった。 大学生〜社会人の便秘ライフ 朝を摂らないことで朝の腹痛はクリアしたのだが、便秘そのものの改善はまた別の話であった(当然)。 大学時代は、【週末に大量飲酒→翌

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  • Hunt症候群と診断してステロイドを処方した後に、糖尿病が発覚。 - 鹿児島認知症ブログ

    ある30代女性のHunt症候群の治療で経験したことをシェアする。 30代女性 Hunt症候群 2日前から、左顔面の違和感と左上下肢の違和感を感じるようになったとのことで来院されたYSさん。 手足に左右差のある麻痺は認めなかったが、患者さんが同側の顔、手、足の症状を訴える場合、ひとまず脳梗塞の可能性を考える必要があるため頭部CTを施行した。 幸いにも、脳梗塞や脳出血は認めなかった。 微妙な額のしわ寄せの左右差と軽度の左口角下垂、左耳介には水疱などの所見から、Hunt症候群と診断し、 バルトレックス1000mgx3/day プレドニゾロン10mgx3/day メチコバール500㎍x3/day ネキシウム10mg/day を処方した。 1週間後、YSさんの左顔面麻痺はわずかに進行しており、更に初診時にはなかった舌のシビれや味覚異常を訴えた。 診断はHunt症候群でよいとは思ったものの、一度専門的

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  • 【症例報告】切れ味良くイクセロンパッチが効いた84歳女性。 - 鹿児島認知症ブログ

    「イクセロンパッチやリバスタッチが効くときは、大体こんな感じだよね」という典型例をご紹介。 「アルツハイマーね、ハイ薬ね」ではなく、じっくりと考えてもらい決断してもらったというプロセスが重要で、そこに人も加わっているというのが更に重要。 初診で認知症と診断され、そのまま「進行を遅らせましょう」と薬が始まるのが通常の認知症外来だと思うが、認知症と診断されることは人生後半戦における一大事件である。衝撃を受けない人は、まずいない。(特にご家族) 「診断即投薬」という、一種"怒濤"とも呼べる流れを冷静に理解して受けとめられる患者さんや家族はどれほどいるだろうか。 患者さんや家族と長く良い関係を維持していくことを目標に据えたとき、重視すべきは投薬までのプロセスであり、抗認知症薬の早期投与ではない。改善例を載せておきながらこういうことを言うのもアレだが、抗認知症薬とはそこまで素晴らしいものではない。

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  • 製薬会社が主催する講演会で発表するスライドは、事前検閲を受けるという話。 - 鹿児島認知症ブログ

    「検閲」という言葉をご存じだろうか。 検閲(けんえつ)は、狭義には国家等の公権力が、表現物(出版物等)や言論を検査し、国家が不都合と判断したものを取り締まる行為をいう。(Wikipediaより引用) 日歴史上では、敗戦後の日でGHQが行った検閲が有名である。 閉された言語空間―占領軍の検閲と戦後日 (文春文庫) posted with amazlet at 18.06.07 江藤 淳 文藝春秋 売り上げランキング: 15,067 Amazon.co.jpで詳細を見る 「国家」から検閲を受けたことは勿論ないが、「製薬会社」から検閲を受けたことなら複数回ある。これは自分だけではなく、製薬会社から依頼されて講演を行ったことのある医師ならば、みな経験していると思われる。 講演会発表資料受付事務局という名の、検閲係 5年ほど前に、とある製薬会社(以下A社)の依頼で認知症に関する講演を行った。

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