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ブックマーク / satoshi.blogs.com (211)

  • Feature creep and user experience

  • その「頭がいい人は成功して当然」という発想が甘すぎる

    はてなの人気エントリーに見つけた「頭のいい人が成功できるかどうかの境目」というanonymousなエントリー。ちょっと彼(そのエントリーの作者)の将来が心配になったのでひと言。 そもそも「頭が良さ」が一つのものさしで計れると思っている点が大間違い。百歩譲って、「旧帝大の大学院にトップクラスの成績で入れるぐらいの学力がある」=「頭がいい」という彼のものさしを認めたとしても、「俺はこんなに頭がいいのになぜ成功できないのだろう=頭がいい人は成功して当然」という発想はあまりにも甘すぎる。子供のころから、「東大に入りさえば幸せになれるのよ、○○ちゃん」という母親の一途な価値観だけに踊らされて塾に通い続けた学歴社会の被害者、とで言えば良いのだろうか。 これを読んで思い出したのが、大学時代の同期の一人。成績は文句なくクラスでトップ。ものすごく頭の切れる男で、修士号取得後に霞ヶ関の官僚になったのだが、彼が

  • 「なぜダムを建設する必要があるのか」に関しての共通の理解を持たずに「ダムを川のどこに建設すべきか」を議論していないか

    先日のエントリー「素直な疑問:数字には四桁ごとにテンを打った方が日人には読みやすくないか?」に関しては、四桁法での数字に関しての妙な盛り上がりをしてしまったが、当に言いたかったことは、「素直な疑問」の大切さである。 どの会社でもあることだと思うが、会議の議題を活発に話し合っているにも関わらず、実はその議題の前提になることを皆がちゃんと理解していなかったり、ということが良くある。 たとえば「なぜダムを建設する必要があるのか」に関しての共通の理解を持たずに「ダムを川のどこに建設すべきか」を議論するし始めると、 「この場所に作った方が貯水量が多い」 「いや、こっちに作った方が落差が取れる分、総発電量はかせげる」 「でも、そこに作るとかなりの数の畑が水没してしまう」 「そうだ、その人たちの移転コストはどこが負担するんだ?」 「そもそも、ダムなんてこの村には必要ないんじゃねえか」 「そうは言って

  • 企業の決算情報とおもてなし

    昨日のエントリーへのフィードバックがたくさんいただけたので、今日はその応用編としてもう少し具体的な例を示す。まずは、下の表を見ていただきたい。 公開企業が株主(もしくは将来株主になろう人たち)のために発表する決算情報は、多少の違いはあれ、おおかたこんなフォーマットで提供される。 問題は、右下の「単位:百万円」である。「日語の作文技術」の著者である多勝一氏が「植民地的」と批判する三桁法を使っているためにこんなことになってしまうのだが、この決算情報を一目見て「この会社の前期の売り上げは1244億円だったのか」と把握できる人は、証券会社の人と熱心な投資家・投機家ぐらいだ。私のような普通の人は、相当注意して読まない限り簡単に桁を読み違えてしまう。 そこで、日語に適した四桁法と、ちょっとした工夫を使ってこの表を書き直してみる。 これだけの小さな工夫で、こんなに読みやすくなる。User Expr

  • 映画「硫黄島からの手紙」とイラク戦争と

    Letters from Iwo Jima (邦題「硫黄島からの手紙」)を見てきた。Million Dollar Babyの時も思ったが、クリントイースト・ウッドはいたってシリアスな監督だ。 「映画はエンターテイメントであるべき」と考える私としては、通常はこの手の映画は避けるのだが、「米国に暮らす映画好きな日人」としては、さすがにこの映画ぐらい見ておかないといけない。 この映画の価値は、「日人から見た太平洋戦争」をアメリカ人監督が描いたことにある。同じ内容の映画を日人監督が作ったとしても、そのメッセージは普通のアメリカ人にはほとんど伝わらない。 特にイラクとの泥沼の戦いに巻き込まれている今のアメリカにとって、この映画にこめられたメッセージの意味は大きい。この映画によって一人でも多くのアメリカ人が「自爆テロをするイラク人にも人格があり家族がある」ことを再認識してくれることを願うのはイー

  • マルチ・スレッド(multi-thread)プログラミングの落とし穴、その1(かもしれない)

    ここのところ技術系ブロガーの間で話題になっている、「C10K問題(参照1、参照2)」は、ひとことで言えば、多くのウェブ・サーバーで採用されているmulti-threadやmulti-processに頼った(もしくは頼りすぎた)多重処理というアーキテクチャーのスケーラビリティに対する極めてまっとうな警告である。 この話は、決して最近になって始まった話ではなく、パソコン業界ではパソコンのOSにpreemptiveなマルチタスクが導入されはじめた90年代の前半から、さらに遡ると、DECを中心にテクノロジーが進化したミニコンの時代から、ソフトウェア・エンジニアたちの間で盛んに討論されてきたテーマである(さすがに、メインフレーム時代の話は私は知らない)。 十数年を経た今でも、いまだに決着が付いていないこの問題は、私の大好きなテーマの一つでもあるし、もし私が博士号をこれから取得しようとするのであれば、

  • 優秀な主婦はイベント・ドリブン(event-driven)方式でパンを焼く

    昨日のエントリーで、「人は一つの仕事を処理するときには、それを小さな仕事に分割して、順番に処理する」と書いたが、「パンを焼く」という仕事を例に取れば、こんな風になる。 1.イーストを30℃のお湯と一つまみの砂糖とまぜて15分間予備発酵させる 2.ボールに強力粉、予備発酵させたイースト、砂糖、塩を入れて良く混ぜる 3.こね板の上で生地をこねる 4.ボールにラップをして室温で1時間発酵させる(一次発酵) 5.適当な大きさに生地を分割し、丸めて形を作る 6.オーブンに入れ、30分発酵させる(二次発酵) 7.オーブンの温度を200度にして18分焼く これは、ソフトウェアで言えば「手続き型のプログラム」であり、人間が一連の作業を把握するのに最も適した記述の仕方である(その証拠に、実際のどのレシピブックを見ても、レシピは必ず「手続き型」で書かれている)。 興味深いのは、このレシピにおける、「15分予備

  • ビルゲイツの面接試験―ドラゴン桜編、解答

    大晦日に出題した「ビルゲイツの面接試験―ドラゴン桜編」。「4つ」という典型的な誤答から、「8つ(図付き)」という正解まで寄せられた。 やみくもに探しても注意深い人であれば8つ全部を見つけることは可能かもしれないが、そんな解き方は再現性・信頼性の意味でもあまり好ましくない。ソフトウェア・エンジニアとしては、やみくもに探すのではなく、きちんと筋道立てて考えて、抜かりなくすべてのケースを見つけ出すように考える習慣を身につけて欲しい。 そこで、私が解いた手順を参考までに下に示す。 まず、円と円との接し方には外接と内接があることに着目する。すると、平面上に二つの円があるのだから、それぞれに外接・内接をする組み合わせを考えれば、「外接・外接」「内接・外接」「外接・内接」「内接・内接」の4通りがあることが分かる。 そこでまず、ひとまず直線のことは無視して、両方の円に外接する円にはどんなものがあるかを考え

  • 技術者にも必要な「もうける決意」

    「日経エレ10月9日号」の「日半導体産業・復活への提言(湯之上隆著)」。半導体産業に限らず、ソフト・家電・ゲーム・ウェブサービスなどを含んだ広い意味での「この業界」で生き残るために必要な提言を含んだ、すばらしいペーパーだ。 オンラインで全文を読んでいただくことが出来ないのが残念でしかたがないが、このペーパーにこめられた著者のメッセージが集約された部分を引用させていただく。 ある日のメーカーの技術者は「開発部門の技術者は、開発にしか興味がない」と証言した。別の技術者は「おおくの技術者は、コスト削減を工場の仕事と考えている」と話した。(…中略…)一方、Intel社の技術者は「ある開発プロジェクトに対する社内評価は、どれだけの最終製品をいくらで出荷したかが判断基準になる」という。開発者のボーナスも最終製品の利益で決まる。これが、開発段階で徹底した低コスト化を目指すインセンティブになっている。

  • 日本の受験システムが日本をダメにしている

    IT-Plusの『「在学歴」を学歴とする風土が生み出す必修科目逃れ』は、まさに私が前々から指摘したかった日教育システムの問題点を的確に表す良いコラム。しかし私は、この日の「在学歴学歴とする風土」の悪影響は、単なる必修科目逃れにとどまる話ではなく、日の企業の国際競争力、しいては日の国力そのものを奪うことになっている、と常々思っている。 この「大学受験」という一発勝負で、その人の一生が大きく左右されてしまうという状況が作り出しているのが、受験地獄とその後の人生の二極化。 小学生低学年のころから塾に通わされて、自分が当に好きなこと得意なことは何なのかを発見できず、人生の楽しみ方とか自分なりの価値観とかを学ばずに大人になっていく子供たち。親の言うままに一生懸命勉強して、一流大学に入学し、それを「一流企業へのパスポート」として一番大切な時期に勉強もせずに遊びほうける大学生。自分のキャリ

  • Live Page-View Counter, Comet server and JSON-push

    Overview A "page-view counter" or "hit counter" is a mechanism that displays the number of page-views on an HTML page. It uses a server side of script that counts the page-views, dynamically generates an HTML page on the server side, and returns it back to the browser. Although it accurately displays the number of page-views at the point when the HTTP request was made to fetch the HTML page, it wi

  • Life is beautiful: 「若者のテレビ離れ」と「釈迦にキリスト教」と

    CNETのブログに、「『若者のテレビ離れ』に関する一考察」というエントリーを書いたが、手っ取り早く言えば、これからの時代は、 ・朝起きて最初にすることは、メールとmixiのチェック ・テレビをつけない日はあっても、メールとmixiをチェックしない日はない ・一時はGyaoを見ていたけど、今はもっぱらYouTube ・テレビ番組はテレビでみるより、YouTubeで見たほうが楽しい ・YouTubeができてから、テレビ番組の流行に敏感になった ・iPodに入った曲のほとんどはどこかから手に入れたコピー ・プレステは持っているけど最近はほとんど電源を入れない ・次のパソコンはそろそろMacに切り替えようかと考えている ・「固定電話」ってなに? みたいな人たちに楽しんでもらえるデバイスやサービスを作らなければだめだということ。 そんな危機感を、今までひたすら「大きくてきれいなテレビ」や「髪の毛の一

  • 「足あとライブ!」

    昨日公開した、リアル・タイム・ページビューカウンター(RPV Counter)に関して、さっそくLingrの開発者の江島健太郎さんから「Webで読者が自分以外の人の存在の『気配』みたいなものが感じられるというのは面白いですよね。」というコメントをいただいた。それにに刺激されて今朝作ったのが「足あとライブ!」。自分の「気配」をもっと明示的に他の人に知らせる仕組みだ。 このブログの右上のページビュー・カウンターの下にある「足あとアイコン」は、クリックすると色を変えることができるのだが、その情報がCometサーバーを伝わって、同時にこのブログを見ている他の人のアイコンにも反映されるようになっているのだ。 ちなみに、Lingrとは、この「足あとライブ!」と同じく、CometサーバーによるPUSHの仕組みを使った「ブラウザ上で動くチャット」である。RPV Counterのデバッグ中に、クライアントか

  • Life is beautiful: Googleの強さはStructured Chaosにあり

    今週号のFortuneの特集記事(原文へのリンク)は、"Chaos by Design"というGoogleのマネージメントスタイルに関する記事。GoogleのBusiness Operationの上級副社長は、Shona Brownという元マッキンゼーの女性。1998年にCompeting on the Edge: Strategy as Structured Chaosというを書き、イノベーションを起こすには、会社を「カオス状態」と「きちんと構造化された状態」の間の "structured chaos"(構造化されたカオス)と呼ぶ状態に置くのが一番良いと説いたのだが、Googleが今ある状態はまさにそれ、というのがこの記事の論点だ。 今考えてみると、Microsoftも、90年代の前半から中盤の、Windows95、IE3.0、IE4.0を出した時期は、まさに"Structured C

  • Life is beautiful: ドラッカー博士著「経営者の条件」は、会社経営者のための本ではない

    先日、ダイヤモンド社の人と会う機会があったのだが、その時に出たのがドラッカー博士の「経営者の条件」というの話。題名が「会社経営者のため」のという誤った印象を与えるために、読者層が偏っているらしい。ドラッカーファンとしては、これは何とかしなければならない。ということで、今日はその誤解を解くためのエントリー。 原題は "The effective executive"、直訳すれば「成果のあげられるエグゼクティブ」。日語にしにくいのが、このエグゼクティブ。決して「経営者」でもなければ「管理職にある人」でもない。立派なスーツを着た商社マンのことでもない。一言でいえば、「なんらかの意思決定をする立場にある知識労働者」のことである。(この業界で言えば、「次のプロジェクトRubyを使った開発に切り替えるべきか」、「次世代テレビにはどんな機能を盛り込もうか」、などなどの意思決定) ドラッカーが他の

  • Life is beautiful: 「ブログは始めてみたいが、何を書いてよいのか分からない」と悩んでいる人のための三冊

    私の「CGMの面白さは自ら情報を発信する側にならなければ理解できない」という言葉にもかかわらず、「ブログは始めてみたいが、何を書いてよいのか分からない」とグズグズしている人たちが私のまわりにも何人もいる。今日はそんな彼らのための推薦図書三冊。 ・頭の良くなる短い短い文章術 ブログを書き始めようかと迷っている人の背中をそっと押してくれる良書。自分のまわりの人やものを常に好奇心であふれた眼で見る気持ちさえ持って生きてさえいれば、ネタに困ることなど決してないのだ。ブログの更新が滞りがちな人にもお薦め。 ・理科系の作文技術 それまでは「自分は作文が不得意だ」と思い込んでいた私を一気に開眼させてくれた良書。初めて読んだ時の感想は、「なんで学校ではこんな簡単なことを教えてくれなかったんだ!」である。私が常に「分かりやすい文章」を書くように心がけているのはこのの影響。 ・文章表現、400字からのレッス

  • 正露丸に関する一考察

    少し前にUIEJのメンバーの間で正露丸のことが話題になっていたのだが、私自身興味があって以前調べたことがあったので、それをまとめて報告。 1.「正露丸」の商標は大幸薬品が所有しているが、他の企業も使用して良いことになっている。しかし、実際には、名前だけでなく、パッケージのデザインまでも似せた類似品がたくさんある。 2.正露丸は、日清戦争において伝染病に悩まされた帝国陸軍が感染症対策のために作った軍人用の薬。元々は「ロシアを征伐する」意味の「征露」から征露丸と書いたが、第二次世界大戦後、この名前は国際政治的に見て好ましくないとの行政指導があり、今の表記に変更された。 3.正露丸が下痢を止めるのは、殺菌によるものではなく、正露丸による腸管の運動と水分分泌を抑制する働きによるものである。不衛生なべ物をべた結果の下痢は、体に不適切なものを排除しようとする体の自然な働きであるが、正露丸はその正常

  • プロトタイプを重視するカルチャー

    最近、UIEJのメンバーの間で「うみがめ」というGoogleの「20%ルール」に相当するルール作りの話が盛り上がっている。ルール作りはおおいに結構なのだが、「なぜうみがめが必要か」というプリンシプル(相当する良い日語がないが、あえて選ぶなら「筋」-詳しくは「プリンシプルのない日」参照)を見失って「ルールのためのルール作り」に陥らないで欲しい、というのが私からのお願いである。 そこで、今まで私がプロトタイプ作り、ベータ版サービスの重要性に関して言って来たことをまとめてみた。 1.UIEのような会社にとって何よりも大切なものは、賢くてクリエイティブな人。そんな人たちが働きたいと思うような、そして彼らがクリエイティビティを最大に発揮できるような環境を提供することが大切。 2.当のイノベーションはごく少人数でおこすもの。一人とか二人とかのクリエイティブな人が、「こんなもの作りたい」という情熱

  • 「Why?」と言えない日本

    先日、たまたまティーンエージャー(13~19才)の子供を持つ親のための講習会に出る機会があったのだが、そこで『二つのWhy』という話を聞いた。日語にも若干通じる部分があるので、今日はそれに関する英語うんちく。 その講師は、親はティーンエージャーの「Why」には二種類あるので注意すべき、と主張する。一つは単なる質問の「Why」で、この場合は普通に答えて良い。もう一つが、こどもが自分が何かを拒否したい気持ちを伝えたくて「Why」と言っている場合。この場合に、その気持ちを理解しておきながら、理屈だけで納得させようとすると泥沼にはまってしまう、と指摘するのだ。 良い例が登校拒否のこども。親が「学校に行きなさい」というと「なぜ学校にいかなければいけないの?」と言い返してくる。そこで親としてはつい「ちゃんと学校を卒業しなければ、ちゃんとした会社に就職できないんだよ」などと答えて説得を試みたくなるのだ

  • 子供の塾の教師に学んだ「考える力」を養うことの重要性

    先日、ここで公開した「亀の子算」。ほとんどの人が正しい答(65匹)にたどり着いたようだが、さまざまな解き方が寄せられたのが興味深い。何通りもの解き方があるからこそ楽しいので、「正しい解き方」など存在しないのだが、そのままではちょっと無責任だと叱られそうなので、参考までに私がどうやって解いたかを書いておく。 最初にこの問題を出された時、まずは直感的に「この問題には何か仕掛けがあるに違いない。方程式を立ててまじめに解こうとすると苦労するに違いない」と感じた。なぜかはうまく説明できないが、ものすごく強くそう感じ、そして、同時にものすごくワクワクした(これを行動心理学では、「強い相手に出会った時の孫悟空状態」と呼ぶ;-)。そしてすぐに考えたのは、「子亀を1セット(6匹)親亀に乗せた時に、背中に何も乗っていない亀の数はどう変化するのだろう」である。もちろん、その答えは「(6-1)5匹増える」である。