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ブックマーク / wedge.ismedia.jp (9)

  • 大流行の「格差論」をどう読むか ピケティの議論は狭すぎる

    トマ・ピケティというフランス人の左派のスターが現れた。2014年3月に発刊された、698頁もある彼の著書 『21世紀の資』“Capital
in
the
Twenty-First
Century”(Harvard University Press)が米国でベストセラーになっている。ニューヨークタイムズで特集が組まれ、辛辣なクルーグマンが「彼の知性が羨ましい」とまで賞賛している。マンキューやロゴフなど、共和党寄りの経済学者もその分析を評価している。 余波は当然日にも及び、この夏には、多くの経済誌が特集を組んだ。渋いフランスの書籍を出版してきたみすず書房が翻訳権を獲得し、山形浩生氏が英語版から大至急で翻訳し、先日12月8日、出版された。 ピケティ教授のメッセージは単純で、それゆえに力強い。格差が拡大している。なぜかというと、資の収益率がGDPの成長率よりも高いからだという。賃金はせいぜい

    大流行の「格差論」をどう読むか ピケティの議論は狭すぎる
  • 一石四鳥を狙うサウジ石油政策

    国際石油市場に異変が起きている。年6月上旬まで高値水準を維持していた油価が、以降下落を始め、9月下旬からさらに下げ幅を広げている。油価が低下に転じたのは、米国のシェール革命により供給が増えるなか、需要は中国や欧州景気の鈍化から伸び悩んだからだ。 この間、ウクライナ危機やイスラム国の台頭など地政学リスクは発生している。従来であれば、「地政学リスクの発生→油価の上昇」となった。しかし、実際には油価は低下した。ウクライナでもイラクでも石油・ガス供給に支障が生じる事態には至らなかったからだ。今の時点では原油価格と地政学リスクには相関関係が見られない。 しかも需要減に合わせ供給量を減らさねばならない石油輸出国機構(OPEC)の産油量が、油価低下分を増産で補うためか、一日当たり3060万(9月)と2011年12月に課した上限3000万を超えている。これでは油価が低下を続けるのも当然である。 だが油価

    一石四鳥を狙うサウジ石油政策
  • 「パクス・シニカ」 中国による新たな国際秩序の創生は本当か

    9月20-26日号の英エコノミスト誌(p.32)は、‘Pax Sinica’と題する論説を掲げ、上海協力機構の拡大や中国主導の多国間機関の乱立など、やり方は秩序だっていないが、中国はアジアを基点に新たな国際秩序を築き始めている、と報じています。 すなわち、中国主導の地域安全保障機関、上海協力機構(SCO)は9月11―12日の首脳会議でSCOの拡大について合意、おそらくインドとパキスタンが来年加盟することになろう。イランも加盟に乗り気だ。8月には、内モンゴルでこれまでで最大の7000人規模の合同軍事演習も実施した。 SCOの推進者たちは、SCOは特定の敵を想定しないパートナーシップだと言うが、実際はその矛先はテロ、分離運動、過激主義に向けられてきた。中国は新彊、ロシアはチェチェン、中央アジア諸国はフェルガナ盆地及びアフガン国境地帯を抱え、加盟国はみなイスラム過激派の脅威に直面している。 ただ

    「パクス・シニカ」 中国による新たな国際秩序の創生は本当か
    tartvf
    tartvf 2014/10/29
  • チベット亡命政権から野田総理への親書

    今、私の手元に1通の親書の写しがある。あて先は、Prime Minister of Japan, Mr. Yoshihiko Noda(日国 総理大臣 野田佳彦 様)。差出人は、チベット亡命政権の日本代表を務める、ダライ・ラマ法王 日・東アジア代表のラクパ・ツォコ氏だ。「総理閣下へ チベットの悲劇的な状況について、火急なご関心をお寄せいただきたく、状を差し上げます」との一文で始まっている。 沈黙する日政府、国会、有力政治家ら 便箋2枚にびっしりとしたためられた中には、チベットの現状が切々と綴られ、こう締めくくられていた。 「チベットの状況は緊急かつ劇的なものとなっております。国際社会の皆様が、一刻も早く、強いメッセージをもって答えてくださることを切望しているのです。そのメッセージは、深い絶望の淵にある土のチベット人らに、希望と啓示、生きる勇気を与えることとなるでしょう。閣下におか

    チベット亡命政権から野田総理への親書
  • なぜ人は20ミリシーベルトを許容できないのか 『安全』でも『安心』できない心の問題を探る

    なぜ人は20ミリシーベルトを 許容できないのか 『安全』でも『安心』できない心の問題を探る 同志社大学・中谷内一也教授インタビュー 「安全」さえ確保できれば、人々の「安心」が得られるわけではない。 福島第一原発の事故後、国は1年間の放射線量が20ミリシーベルトを超えるかどうかを目安に避難等を促してきた。日は平常時の一般公衆の線量限度を年間1ミリシーベルトに定めていたため、事故により20ミリシーベルトまで基準を「緩和」したという報道がなされ、一般の人たちは不安に陥った。 4月19日には、文部科学省が福島県の校舎・校庭の利用判断について、暫定的な考え方として年間20ミリシーベルト、校庭・園庭では毎時3.8マイクロシーベルトという基準を示した。これに対して、29日には内閣官房参与を務めていた小佐古敏荘・東大教授が「年間1ミリシーベルトで管理すべきだ」と涙ながらに抗議し、辞任。その後文科省は年間

    なぜ人は20ミリシーベルトを許容できないのか 『安全』でも『安心』できない心の問題を探る
  • 「企業に漁業ができるわけがない」 宮城県漁協の言い分は正しいのか

    この記事は、WEDGE10月号第二特集『震災で露呈 時代遅れの漁業権』をウェブ版として加筆・修正したものになります。 宮城県の村井嘉浩知事と漁協のバトルが続いている。 争点となっているのは、震災の津波による被害から三陸沿岸の漁業を復興するために村井知事が提案した「水産業復興特区」構想。漁協が事実上独占してきた漁業権を民間企業に開放するという案に対し、「特区は復興の妨げになるだけ」と宮城県漁協が真っ向から反対している。6月には漁業者1万4000人近くの署名を集めて特区構想の撤回を求める請願を県議会に提出した。 9月15日から始まった県議会定例会でも、県の震災復興計画に盛り込まれた特区構想と県漁協が提出した請願の扱いが最大の焦点だ。議会内でも特区構想には異論が根強く、議論の紛糾も予想される。 県は、県漁協とのあいだに水産業の復興を話し合う連絡会議を発足させてこじれた関係の修復も図るが、村井知事

    「企業に漁業ができるわけがない」 宮城県漁協の言い分は正しいのか
    tartvf
    tartvf 2011/09/23
  • 過剰な消費者至上はメーカー撤退を招く

    この10年ほど増え続けてきた民生品のリコールは、消費者が高い品質や安全性を要求し、企業が真摯にその声に対応した結果。消費者にとってよいことであるが、欧州と違ってメーカーを守る規則のない日では、消費者至上のトレンドが加速し、やがてはメーカーの疲弊を招く。 製品のリスクとベネフィットをバランスし、メーカーと消費者が一緒に育っていくには、どうしたらよいのか。歴史事件や事故、企業の不祥事や製品事故など、多くの“失敗”を分析し、リスクを次の創造に結びつける“失敗学”を提唱してきた中尾政之・東京大学大学院教授に聞いた。 ――先生は、近年強まる「消費者至上主義」のトレンドが続けば、いずれメーカーが疲弊し、日から撤退してしまうかもしれない、と指摘されています。 中尾政之・東京大学大学院教授(以下、中尾教授) 日の消費者やマスコミ、政府が、製品のリスクとベネフィットのバランスをどのように判断するのか

    過剰な消費者至上はメーカー撤退を招く
  • 小中学生の生存率99.8%は奇跡じゃない

    岩手県釜石市では、市内の小中学生、ほぼ全員が津波の難を逃れた。多くの人たちは、これを「奇跡」と呼ぶ。しかし、そうではない。教育で子どもたちが身につけた対応力が「想定外」を乗り越えさせた。★英訳版はこちら ⇒ http://p.tl/UDIF 死者の声に耳を傾ける 最初にある少女のことを書かせていただきたい。私は、岩手県釜石市の小中学校で先生方とともに防災教育に携わって8年になる。「どんな津波が襲ってきてもできることがある。それは逃げることだ」と教えてきた。特に中学生には「君たちは守られる側ではなく、守る側だ。自分より弱い立場にある小学生や高齢者を連れて逃げるんだ」と話していた。今回の震災では、多くの中学生が教えを実践してくれた。 ある少女とは、私が教えた中学生の一人だ。彼女は、自宅で地震に遭遇した。地震の第一波をやり過ごした後、急いで自宅の裏に住む高齢者の家に向かった。そのおばあさんを連れ

    小中学生の生存率99.8%は奇跡じゃない
  • 中国メディアの裏側(1) 官僚記者と新聞民工

    中国の報道統制は、今年、特に厳しくなりそうだ。中国共産党創立90周年であり、辛亥革命100周年であり、政権交代が行われる2012年秋の第18回党大会の前年という政治的に敏感な一年であることから、当局は報道が与える世論の動向に神経をとがらせている。香港誌・亜洲週刊なども報じたが1月早々に北京で行われた全国宣伝部長会議では、今年から記事を検閲する「閲評員」を全国各地のメディアに2人ずつ送りこみ、より厳格な記事検閲を行う方針を通達したそうだ。すでに南方都市報や南方週末、新京報など影響力のある地方紙には、「閲評グループ」が編集局内に送り込まれて、出稿前にすべての記事が検閲を受ける体制になっていたが、これから全国に約2000ある各新聞でもやっていこう、ということらしい。 また、その会議の場では、10項目におよぶ非常に細かい禁令も通知されたという。「全人代前に株や不動産市場、就職や教育衛生などと庶民の

    中国メディアの裏側(1) 官僚記者と新聞民工
    tartvf
    tartvf 2011/02/28
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