明治憲法のもとでは、国葬令という勅令がありました。勅令というのは、帝国議会が議決した法律ではなく、天皇が直接発する命令・法令を指します。 日本国憲法のもとでは、国会が「唯一の立法機関」(日本国憲法41条)となっていますが、明治憲法のもとでは、立法権は天皇に属していて、帝国議会はそれに「協賛」するにすぎませんでしたから、法律とは別に天皇が発した勅令(明治憲法8条〔緊急勅令〕・9条〔独立命令〕)という法形式が並立していました。大正15年に定められた国葬令(勅令第324号)もその一つです。 戦後、日本国憲法の制定・施行に伴い、明治憲法のもとで通用していた命令については整理が行われました。明治憲法のもとで天皇が発したものであったとしても、内容的にすべてが否定されるべきものではないことから、必要と思われるものについては暫定的に効力を維持するものの、あらためて日本国憲法のもとで「法律」の形で議決するこ
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