第1 憲法とは何か 憲法とはそもそも何か。もちろん、国家の根本法である、ということは言うまでもありませんが、憲法の重要な機能として、「国家権力を縛る安全装置」という点があります。憲法で権力を縛ることは「立憲主義」と呼ばれています。 もともと、国王に好き放題させない、というところから発展してきたものですが、国民主権になり、民主主義の政治システムを取る欧米各国は、今も「立憲主義」をとり続けています。それは、議会制民主主義の下で「多数者」によって信任された政府であっても、権力は時に暴走し、特に少数者の人権を踏みにじる危険性が常にある、という教訓に基づいています。 むしろ、政府が多数の国民に熱狂的に支持されているときほど、少数者は切り捨てられ、人権が踏みにじられることがあります。民主主義システムの下での「立憲主義」を「立憲主義的民主主義」といって、多数者であれば何を決めても良いという意味での「多数