日本の「こころ教」によるイスラーム教理解の阻害、欧米のリベラル・バイアスや、ルター的宗教改革を普遍的モデルとしてしまう問題などを取り上げてきたが、そういえば、今、仕事で依頼されてこの本をずっと読んでいて、関連書籍と合わせて検討しているのだけれども(遅れています)、ここでも関連する議論が出てくる。 ウォルター・ラッセル・ミード『神と黄金 上 イギリス、アメリカはなぜ近現代世界を支配できたのか』 アメリカの保守派と目され るウォルター・ラッセル・ミードも、イスラーム教のいわゆる「過激派」と論じられがちなワッハーブ派やサラフィー主義と、アメリカのプロテスタントとの類似性を論じている。そして、ミードはアメリカの活力と指導力の発展の過程では、負の側面はあれども、「過激」なプロテスタントの運動が不可欠な要素だったと肯定的評価をしているのである。間接的に、ワッハーブ派はサラフィー主義についても、長期的に