ALSにおける認知機能障害は近年にいたるまで臨床的には軽視されてきた.うつや苛立ち,感情の不安定さといった情緒の変化とともに,貪欲さや猜疑的になるといった行動の変化,さらに知的活動の減少などが報告されている.言語機能に関しても,言語数の減少,綴りのミスや名称の間違い,理解力低下といった所見が観察されている.これらの所見は前頭側頭型認知症(fronto-temporal dementia; FTD)の特徴として知られるものである.ALSとFTDとの関連は1970年代から認識され,その最初の報告は本邦からであった.その後,認知症を伴うALSでは,病理学的にユビキチン陽性封入体を伴うことが報告された.さらに最近になり,FTD脳の不溶分画の網羅的解析によりTDP43ペプチドが検出され,ユビキチン陽性封入体が抗TDP43抗体で陽性に染色されることが判明した.そしてALSでもその特徴的病理所見として知