ほとんど変わらない「手取り賃金」 アベノミクスとは、私たちの生活にどういった影響をもたらしたのだろうか。 今回は、2013年に始まったアベノミクスの最終的な検証として、2012年以降の客観的なデータをもとに、簡潔に結論と要点だけを申し上げたい。 政治や大手メディアが現実を直視できなかった10年余りのツケは甚大だ。 アベノミクスでは賃上げの実績がことさら強調されてきたが、それは「春闘」に代表される大企業を中心とした賃上げに限定されていた。全体の7割を占める中小企業では、賃金は思うように伸びてこなかったのだ。 厚労省の統計データによれば、全国の現金給与総額は2012年の31万5334円から2023年の32万9777円へと、11年間で4.6%しか上昇していなかった。 おまけに、賃上げ分の大半は社会保険料の負担増により相殺されてしまい、可処分所得はほとんど伸びていなかったと言えるだろう。 【グラフ