朝起きたら祖父が首を吊っていた。 朝いつもどおりびっくりするほど早い時間に起きて新聞を取ってそれを置き、そのままその足で倉庫へ行って首を吊ったらしい。突然のことだった。漫画や小説ではよくみるが実際に自分が自死遺族の側に回るなんて思ってもいなかった。 第一発見者は母で、父が脚立を使って祖父の首のロープを切ったらしい。その瞬間はまだ体は暖かく、生きているようだったと話していた。それからすぐに救急車を呼んだが首を吊ってから2,30分経っていたのでもう間に合わなかった。死んでいた。 わたしが起きた時には祖父はもう死んでおり、父の「病院で最後のお別れをしよう」という言葉で現実に直面することとなった。 最後のお別れってなんだ?まだ祖父が死んでしまったという実感は沸いていない。脚立の下に散らばった祖父のスリッパやいつも座ってテレビを見ていた座椅子、置かれたままの新聞、何もかもが祖父の温もりを残していた。
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