日米貿易交渉が決着し、米国産牛肉の関税引き下げが決まった。日本では「おいしい米国産牛肉がより安く食べられる」などと歓迎する論調も目立つが、実は、米国産牛肉は、欧州連合(EU)が安全性に問題があるとして輸入を禁止している代物だ。米国内でも、普通の安価な牛肉を避け、健康によいイメージの有機やグラス・フェッド(牧草飼育)の牛肉を選ぶ消費者が増えている。日本は先のトウモロコシに続き、またしても、安全面で不安の残る米国産農産物を大量に引き受けることになりそうだ。 現在38.5%の米国産牛肉の関税率は、日米貿易協定の発効と同時に一気に26.6%に下がり、米国が離脱した環太平洋経済連携協定(TPP)の発効国と同水準になる。関税率はその後も段階的に切り下がり、2033年度には9%になる予定だ。国内の畜産農家を保護する目的で緊急輸入制限措置(セーフガード)を設けたため、スーパーの牛肉売り場が米国産であふれか
