アフタヌーン・ティールームでパスタ・ランチを食べ終えた私は、ロイヤルミルクティを飲みながら、ぼんやりと窓の外を眺めていた。年末のはずなのに、町は意外に閑散としている。ふと、ドアのほうに目をやると、ピンクのセーターを来た女の子が一人 入ってくる。女の子は店内を見回して、私の方を向くとにこっと微笑んでこちらに近づいてきた。彼女は、不思議そうな顔をしている私の向かいの席にするっと腰をおろすと、大きな布のバッグをテーブルの上に置いて、ふう、と一息つく。 びっくりした私が「ええと…どちらさまですか?」と尋ねると、彼女は「わかりませんか?」と答える。私は彼女の顔をじっと見る。 …高校生、いや中学生かな?ふかふかした、やわらかいピンク色のとっくりセーター。髪はストレートのロングで、プラスチックの髪留めが1つ。これもピンク。整った顔立ちをしていて、微笑んでいる…だめだ、思い出せない。いったい誰だろう。 彼