◇「役に立つこと」を念頭に 科学技術と社会の関係研究−−小林傳司教授(57) 科学技術と社会の関係を研究する「科学技術社会論(STS)」という学問領域がある。小林傳司(ただし)教授(57)は01年にSTS学会を立ち上げ、日本ではなじみの薄いこの領域の研究を進めてきた。昨年3月11日の東日本大震災、その後の東京電力福島第1原発事故以降、科学と社会を巡る問題は急速に先鋭化した。小林さんは新しいエネルギー政策を巡り政府の調査や意見聴取会の結果などを検証する「国民的議論に関する検証会合」のメンバーを務めるなど、震災以降も行政と関わりながら発言を続けてきた。 震災以降、低線量被ばく問題など科学は不可欠だが、科学だけでは対処を決められない問題は山積する。「STSの蓄積は必ず生きる」と話すが、現状は「反省ばかり」だ。なぜか。「例えば原発問題でも安全/危険で色分けされ、固有のリスクがあることを前提に、それ
科学の権威への不信感は大学1年、18歳の時にさかのぼる。祖父、父とも医学博士の家に生まれた島薗さんは医師になるため猛勉強し、現役で東大に受かった。「金沢大付属高校時代、自分の道を考える前に競争に乗った。現在の経済にも似て、目的を定める前に競争に勝たねばならない。そこに疑問を感じていた」 大学に入った67年、医学部闘争が始まる。「先輩たちの闘争を見ていて、医学者の権威主義、ごまかしを知った。東大医学部長を務めた祖父は水俣病の病因隠蔽に関わったし、いのちを守る学問という姿勢が欠けているように見えた。もっと科学技術の陰を直視せよと学生だった自分は感じていた。その経験が今、原発問題を考える原点になっています」 紛争後、医学に戻る気がせず、収容所文学など人間の苦悩に向き合う思想にひかれ、「人間を学ぶ場として宗教学に進路を変えた」。 科学と人間の関係を直視するようになったのは、28歳の時の闘病も影響し
今月末、一冊の本が書店に並ぶ。学習院大の田崎晴明教授(理論物理学)が書いた「やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識」(朝日出版社、1050円)だ。問題が多岐にわたる放射線について、一科学者が、何が分かっていて何が分かっていないかを、これまでの蓄積を踏まえて丁寧に書きつづった本だ。 中身の紹介はここまで。私が注目するのは、出版されるまでの経緯だ。実は同書は既にインターネット上(http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/radbookbasic/)に無料で全文公開されており、修正点も田崎教授自身がツイッターなどで発信している。印刷することも自由にできるし、タブレット端末に取り込めば電子書籍として完成形で読める。わざわざ、紙での出版を考えたのはなぜなのか。編集を担当した朝日出版社第二編集部(ツイッター:@asahipress_2hen)に聞いてみた。
◇まき割りで鍛え、自然に 分娩制限施設、予約に苦労も コン、カコーン−−。うっそうと木が生い茂る庭に、まき割りの音が響く。おのを握るのは、大きなおなかを抱えた妊婦たちだ。 愛知県岡崎市の産院「吉村医院」では、妊婦がまき割りや井戸水くみといった「作業」に汗を流す。お昼には江戸時代に建てられた古民家で、まきで炊いたご飯をほおばる。 吉村医院は「本当の自然なお産」を実践している。帝王切開や、赤ちゃんを産道から引き出す吸引分娩(ぶんべん)などの医療行為をできるだけ行わず、母子の力でお産をやり遂げることを目指す。そのために、妊婦の体作りを重視する。妊娠中は「作業」のほか、自宅で毎日2〜3時間歩き、スクワットを200〜300回続けるよう指導する。 体力と気力を培い、和食に徹した食生活で臨んだお産では、「赤ちゃんがつるっと生まれてくる」という。田中寧子副院長は「妊娠中の取り組みがあるからできる、計画的な
栃木県で8月、ホッケーとソフトボールの全国大会に参加した中学生らが食中毒症状を訴えた問題で、原因の弁当を製造した「那須フードサービス」(同県那須塩原市)が、営業自粛中に別の取引先向けの弁当を作っていたことが5日、分かった。その際、県の施設を無断で使用したという。 県などによると、那須フードサービスは食中毒の発生2日後だった8月19日、矢板市の県立児童自立支援施設の厨房(ちゅうぼう)を県に無断で使って、弁当計139食を製造した。 この施設は宇都宮市の弁当業者「イートランド」が、県から給食調理の業務委託を請け負っていた。那須フードサービスは09年にイートランドから独立。受注済みの弁当の対処に困り、イートランドに厨房の使用を依頼したという。那須フードサービスは「取引先の信頼を失いたくないためにやってしまった。モラルに欠けていた」と話している。
ドクターシーラボが販売していた美顔器「DRソニック L・I」=消費者庁で2012年8月31日、記者撮影 消費者庁は31日、大手化粧品会社「ドクターシーラボ」(本社・東京都渋谷区)が美顔器の広告で脂肪分解や殺菌効果をうたったのは根拠がなく、景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、同社に再発防止を求める措置命令を出した。 美顔器は「DRソニック L・I」で、金属製ヘッドが電動で振動し、顔や手足にあてて使う。同社は通販会員向けカタログ誌に「なでるだけでお腹(なか)や二の腕などについた余分な脂肪を分解」「殺菌効果でニキビケアに効果的」などと表示した。消費者庁が根拠を求めたが、同社が提出した資料に効果を裏付ける記載がなかった。 美顔器は10年12月から、1個2万円程度で販売。今年5月に消費者庁の指摘を受けて販売を中止するまで約3万個、約6億4200万円が売れたという。 同社は「お客様にご迷惑をおか
記者会見の冒頭で謝罪する岩井食品の岩井憲雄社長(中央)ら=札幌市中央区で2012年8月15日、貝塚太一撮影 北海道内の高齢者施設で病原性大腸菌O157に集団感染し、2人が死亡した問題で、原因の白菜の浅漬け「白菜きりづけ」を製造した「岩井食品」(札幌市西区)は15日、同市内で記者会見し、野菜の消毒液の濃度測定を徹底していなかったことを明らかにした。札幌市保健所は08年、食材の殺菌が不十分として同社を指導し、同社は改善したと回答していた。市は、通常の約2倍の野菜を消毒液に入れたことで濃度が薄まったことが感染の原因とみており、詳しい経緯を調べている。 市保健所によると、08年10月の定期検査で、同社商品の細菌数が市の定める基準値を超えたため、改善を指導。同社は09年1月、消毒液の濃度を測定し、一定の濃度を下回らないようにするなどの改善報告書を提出した。 しかし、同社によると、濃度を一定に保つため
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