(英エコノミスト誌 2009年6月6日号) ロシアの経済危機は深刻だが、だからと言って、クレムリンが統制を失いかけているわけではない。その逆である。 戦時中は「タンコグラード(戦車の街)」として知られたロシアのうらぶれた工業都市チェリャビンスク。ある金曜の夜、街の上流階級の面々がメルセデスの新規ディーラーのオープン式典に出席するために、街外れまで出かけていった。 ネオンに照らされたショールームの中では、銀色のボディペイントを施し、鳥肌を立てた半裸のダンサーたちが、盛装したチェリャビンスクのエリートたちを歓待。キラキラ光るスカートを穿いた女性たちがタップダンスを披露する傍らで、ウラジーミル・プーチン首相のそっくりさんが「支援」を約束した。 盛大なイベントの終わりには、黒いミニのドレスに身を包んだ足の長い美女たちがベールを取って新型メルセデスをお披露目し、招待客が車に乗り込んで写真を撮