せみ時雨の降る時節になると、国の在り方や故事来歴に思いを巡らせ、あれやこれやと心を痛める。昭和20年8月15日以来、日本人のDNAに刻まれた宿痾(しゅくあ)といっていい。 島を不法に占拠され、わが物顔で領海を跋扈(ばっこ)され、庭先にミサイルを打ち込まれてもなお、沈黙するしかない現状が眼前にある。狡猾(こうかつ)で粗暴な隣の国々にあざ笑われているのに、「平和を愛する諸国民の公正と信義」とやらを妄信する空気が支配する。われわれの背骨はなぜ溶けてしまったのか。 「八月革命」という学説がある。ポツダム宣言の受諾により、主権の所在が天皇から国民に移行するという革命が起きた。これによって、日本国憲法は新たに主権者となった国民の自由意思で制定された-とするものだ。東大法学部の宮沢俊義教授が昭和21年5月に提唱した。 「誰が殺した? 日本国憲法!」(倉山満氏著)や「ほんとうの憲法-戦後日本憲法学批判」(