アメリカとの言葉の応酬がエスカレートし、戦争の不安も高まる北朝鮮。しかし、北朝鮮の脅威はすでに、あなたの隣に迫っているかもしれない……。日本にも数多く潜伏している北朝鮮の工作員たち。彼らはいったい何者で、どんな生活を送っているのか。公安警察や元工作員への取材を重ねてきた報道記者・作家で『スリーパー 浸透工作員』の著者でもある竹内明氏が、日本に潜む工作員たちの実像に迫ります。 (前回までの内容は、こちらから) そのスパイ手法は、すでに浸透している… 警視庁公安部の捜査員は、東京都の旅券事務所からこんな相談を受けたという。 「ある男性が旅券の申請にきたのだが、すでに旅券が発行されていた。似ても似つかぬ別人が旅券を入手している」 「背乗り」事案か――。 背乗りは「はいのり」と読む。公安警察の用語で、工作員や犯罪組織の構成員が他人の身分を乗っ取って、その人に成りすますことを指す。 相談を受けた捜査