良くも悪くも、「ありえない」ことがたびたび起こるのが世の中だ。大多数の人はかすりもしない宝くじで、一等を複数回出した人は何人もいるという。統計モデルでは限りなく低確率とされていた金融市場の大暴落は、近年だけで何度も起きてしまった。 2009年9月6日、ブルガリアの国営ロトは当選番号としてランダムに「4、15、23、24、35、42」を選んだ。その4日後の2009年9月10日、ランダムに選ばれた次のロトの当選番号は、前回とまったく同じ「4、15、23、24、35、42」だった。 52年の歴史を誇るブルガリアの国営ロト史上、異例の事態である。当時のメディアは大騒ぎ。同国のスポーツ大臣は調査を命じた。大がかりな不正行為でもあったのか? 前回の番号が何らかの方法でコピーされたのか? しかし本書によれば、確率を正しく見積もると、そうした限りなく起こりそうにない出来事が実は起こってもおかしくないという