▽ 「ねむりのもりのはなし」長田弘 いまはむかし あるところに あべこべの くにがあったんだ はれたひは どしゃぶりで あめのひは からりとはれていた そらには きのねっこ つちのなかには ほし とおくは とってもちかくって ちかくが とってもとおかった うつくしいものが みにくい みにくいものが うつくしい わらうときには おこるんだ おこるときには わらうんだ みるときには めをつぶる めをあけても なにもみえない あたまは じめんにくっつけて あしで かんがえなくちゃいけない きのない もりでは はねを なくした てんしを てんしをなくした はねが さがしていた はなが さけんでいた ひとは だまっていた ことばに いみがなかった いみには ことばが なかった つよいのは もろい もろいのが つよい ただ