「ベンヤミンのポルボウを歩く」全4篇を、ようやくすべてアップすることができた。執筆には、おもいのほか時間がかかってしまった。理由は、調べものに少々手間どったからだ。引用の出典の確認である。 ポルボウにあるダニ・カラヴァンの作品「パサージュ──ベンヤミンへのオマージュ」には、ベンヤミンの『歴史の概念について』からとして、日本語であらわせばつぎのような文章が引用されている。 名もなき者たちの記憶に敬意を表することは、有名な者たちや誉め称えられた者たちの記憶に敬意を表するよりもずっと難しい。歴史的な構築は、名もなき者たちの記憶に捧げられているのだ。 現地でこれを見たとき、ちょっと不思議に感じられた。というのも、このフレーズに覚えがなかったからだ。 たんに、ぼくが忘れていただけかもしれない。じぶんの記憶力にはほとんど自信をもっていないので、帰国してから確認しようとおもった。 ところが、帰国後に実際
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