<治安悪化が深刻な現地から自衛が引き揚げれば、日本はリスクを負わない国だと思われる> 日本政府は今月10日、国連の南スーダン派遣団に参加している陸上自衛隊の施設部隊を5月末で撤収させる方針を決めた。部隊は12年から平和維持活動(PKO)に加わり、首都ジュバ近郊で道路建設などに当たってきた。 安倍晋三首相は記者会見で、部隊が担当する施設整備に「一定の区切りをつけることができると判断した」と説明。今後は「積極的平和主義」の旗の下、人道支援などで平和づくりに貢献していくと強調した。 公式見解はさておき、今回改めて浮き彫りになったのは、海外で人道支援や災害救援以外の任務に当たる自衛隊の限界だ。安全保障関連法が昨年3月に施行されたにもかかわらず、日本が果たす「積極的な」役割は大幅に限られている。 その原因は、今なお日本の政治と社会に強く残る、自衛隊が海外で戦闘に近い状況に直面することへの強い抵抗感。