いま、私はレバノンの首都ベイルートに一カ月ほど滞在し、パレスチナ難民キャンプを取材している。 レバノンは内戦が続くシリアの隣国であり、レバノン政治は親シリア勢力と反シリア勢力が対立している。2011年春にシリアで内戦が始まった後、レバノンに飛び火するのは時間の問題と言われてきた。これまでのところ、シリア国境に近い北部や東部は不安定ではあるが、国内への内戦の波及はない。しかし、いまでもレバノンでいつ状況が悪化しても不思議ではない。 昨年11月に一カ月、ベイルートに滞在した時には、滞在の最終日にベイルート南郊のボルジュ・バラジネのシーア派政治組織ヒズボラ地区で、「イスラム国(IS)」による自爆テロがあり、40人以上が死んだ。テロ現場の近くには、私の取材地の一つだったボルジュ・バラジネのパレスチナ難民キャンプがあり、テレビで一報を知った時は、難民キャンプでテロが起こったのかと思った。結果的には、
![ベイルートの「一日内戦」の記憶 川上泰徳 中東ジャーナリスト](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/63d2265e04d1e962bb89f17326cf329c258db1d1/height=288;version=1;width=512/http%3A%2F%2Fwww.kikenchisyuzai.org%2Fwp%2Fwp-content%2Fuploads%2F2016%2F10%2Fimage001.jpg)