「米軍が撤退すれば貨幣価値は20〜30倍になる」。業者が消費者に高額でイラク通貨「ディナール」を購入させ、その後の換金に応じないトラブルが今年3月以降、急増している。標的は主に高齢者や過去に未公開株の投資トラブルにあった消費者。被害総額は全国で少なくとも5億5千万円を超えている。業界関係者は「未公開株取引詐欺を持ち掛けていた人間が通貨投資に手口を乗り換えている」と指摘しており、警察当局は新手の投資詐欺とみて警戒を強めている。(福田涼太郎) ■「今は両替できない」 「政情が安定すれば必ずもうかる。希望すればディナールは円に戻す」 電話でそう持ち掛けられた近畿地方の50代男性は業者の言葉を信じ、ディナール紙幣の中で最高額の二万五千デイナール札1枚を10万円で購入する契約を締結。20口分約200万円を指定口座に振り込んだ。1カ月半後、業者に円への両替を求めると「今はできない」と断られた。 「上場