<ka-ron> 福島第1原発事故をめぐる「注水55分間中断の幻」騒動は象徴的だった。中断していたはずの注水が実は現場の判断で続いていたチグハグさ。それもさることながら、もっと気になったのは、当初東電が中断を決めるのに際し「官邸の中の空気が伝えられたので」というくだりだ。 明確な指示を受けたのではなく、その意をそんたくしてということか。確かな言葉による意思疎通も情報共有もない。重大局面でまたも「空気読み」という「伝統」が鎌首をもたげたかと思った。 戦争末期の1945年の今ごろ。敗戦不可避の中で政府も軍も指導層は事態収拾になかなか動かない。本土決戦を呼号する軍部強硬派のクーデターを恐れたといわれるが、それだけか。沖縄に時稼ぎの消耗戦を強いる間に中央の政軍指導層は本音を秘め、腹をさぐり合い、空気を読む時期が続いている。一線の状況も正確に伝わってこない。 誇大な戦果発表も国民をだます意図だけでは