日本初といわれる乳母車をアメリカから持ち帰り、幼い子たちに徳義や知識を小話仕立てにして毎朝書き与える。子煩悩で教育熱心、そして9人の子供全員を平等に愛した現代のマイホームパパのさきがけのような福澤諭吉先生の家族愛を知る。 画像提供:慶應義塾福澤研究センター 福澤先生の家族は、夫婦に四男五女の11人。大家族である。その家族観は、「人間(じんかん)の交際は家族を以て本(もと)とす。(中略)凡そ世間に人情の厚くして交の睦きは家族に若(し)くものなし」(『西洋事情外編』)と言い切るほどに、人間関係の基本として、家族に重きを置くものである。 また男尊女卑や長男偏重主義の時代にあって、家族における平等の大切さも強く説いている。 「四男五女の其男の子と女の子と違いのあられよう訳けもない。(中略)娘の子なれば何が悪いか、私は九人の子がみんな娘だって少しも残念と思わぬ。(中略)男女長少、腹の底から之を愛して