【北京・成沢健一】安倍晋三首相の就任に際して中国の温家宝首相が祝電を送ったかどうかについて中国側が発表を控える異例の事態となっている。中国外務省の華春瑩(か・しゅんえい)副報道局長は27日の定例記者会見で「提供できる情報はない」と述べるにとどめ、沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐる対立で高まった対日強硬世論に神経をとがらせていることをうかがわせた。 中国政府は日本の新政権発足に伴って首相名で祝電を送るのが慣例となっており、09年の鳩山由紀夫首相の就任時には、温首相が祝電を送ったとの記事が共産党機関紙「人民日報」の1面で掲載された。今回は中国外務省から正式な発表がなく、国営メディアも報じていない。 一方、27日付の上海紙「東方早報」は温首相が祝電を送っていないとして「中日関係の緊張した局面を表している」と伝えた。 北京の日本大使館は「新政権発足に伴う日中間の外交上のやりとりについ