大橋新太郎 大橋新太郎という名は今までの各列伝の資料模索中によく出てきました。しかし私はこの人物の名さえ知りませんでした。新太郎の事業の基礎は博文館という出版社であります。ところで明治期に大活躍したこの人物の拠って立つ博文館という出版社については、私の認識は、たしかそんな名の出版社があったなあ、くらいです。出版不況と言われる時期がもう20年続いている今日の感覚からすると、出版社を基礎として、以下に述べるような、新太郎の事業拡大がありえたことは、正直びっくりです。 博文館の設立は新太郎の父、大橋佐平によるものです。佐平は越後(新潟県)長岡で材木商そして酒造業をしていました。佐平は政治への関心の極めて旺盛な人で、町人の身分ながら、軍学や撃剣を学んで国事に奔走しました。町人としては稀と、伝記には書いてありますが、幕末においては上層の農民や商人の政治への関心は低いものではなかったと思います。戊辰戦
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