カイエ、というのはフランス語で雑記帳、メモ帳、ノート、そんな意味である。シオランの『カイエ』。未発表の雑文がまとめられたものだろうと思って、借りた。書庫から出してもらった。出てきたのは分厚い辞書のようなものだった。「訳者あとがき」までで1012ページあった。おれはたじろいだ。 が、読み進めるのはそれほど苦ではない。なにせ、アフォリズムの名手による、覚え書き、メモ、日記なのである。現代風にいえばツイート、とでも言うべきか。すらすらと読む。おれの知らない固有名詞が出てきたら、飛ばす。そんなふうにして読んだ。 ……読んだが、半分くらいで止まった。具体的には478ページで止まった。とりあえず、ここまで読んで気になった箇所を書き留めておきたい。ちなみに、シオランはここにまとめられたノートについて「出版するなよ、絶対に出版するなよ、破棄しろよ」みたいなことを言い残していたらしいが、それはダチョウ倶楽部