今年、生誕90周年を迎えた三島由紀夫。彼に懇願されて美輪明宏さんが主演した舞台『黒蜥蜴』。47年前の初演は大好評を博し、以後再演を重ねてきたが、ついに今春、ファイナル公演を迎えた。この名舞台の“生みの親”でもある三島との知られざる交流を美輪さんが語る――。 ボディビルで、体を本気で鍛えるきっかけも私でした。 昭和30年ごろだったと思います。新宿に映画界、財界、野球選手らが集まるクラブがあって、そこで三島さんと2人でダンスをしたんです。当時は肩にがっちりパッドが入った背広が主流で、踊りながら「どこもかしこもパッド、パッド、パッド。三島さんがいなくなっちゃった。パッドだらけね」って言ったら、急に顔色が変わり「俺は不愉快だ。帰る!」と怒って、お金も払わないで帰られたんです。その瞬間、私は「しまった!いちばん言っちゃいけないことを言ってしまった」と……。以来、音信も途絶えました。 三島さんは幼少の