福島第1原発事故で避難を余儀なくされた人たちの損害を巡り、国の原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介手続き(原発ADR)で示された和解案に対し、東京電力が拒否を表明した事例が11件に上り、うち9件が現在も協議中であることが、センター関係者への取材で分かった。東電は今年1月に経済産業相に認定された新総合特別事業計画で「和解案を尊重する」と明記したが、拒否は今年4月以降に続発しており、矛盾した姿勢が問われそうだ。 東電の拒否回答は▽福島県浪江町民約1万5000人に精神的賠償を月5万円増額し15万円にする▽飯舘村蕨平(わらびだいら)地区の住民への被ばく慰謝料は50万円−−の2件が公表されていたが、他にも9件あることが判明した。 関係者によると、原発ADRを担当する仲介委員(弁護士)から、東電の拒否事例について同センターに報告があり、今年7月末現在で計11件に上った。そのため、弁護士や大